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「ポジティブ思考」が実はヤバい理由

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辻秀一(つじ・しゅういち)/1961年生まれ。スポーツドクター、株式会社エミネクロス代表。応用スポーツ心理学をベースにしたメンタルトレーニング「辻メソッド」は、一流スポーツ選手やトップビジネスパーソンに熱い支持を受けている。37万部突破の「スラムダンク勝利学」(集英社インターナショナル)』など多数の著書がある。最新刊は「先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!」(朝日新聞出版)

辻秀一(つじ・しゅういち)/1961年生まれ。スポーツドクター、株式会社エミネクロス代表。応用スポーツ心理学をベースにしたメンタルトレーニング「辻メソッド」は、一流スポーツ選手やトップビジネスパーソンに熱い支持を受けている。37万部突破の「スラムダンク勝利学」(集英社インターナショナル)』など多数の著書がある。最新刊は「先生、ウジウジ・イライラから一瞬で立ち直る方法を教えてください!」(朝日新聞出版)

 その理由は主に2つあります。1つは「原因探し」と同様、そのつど「ポジティブなとらえ方」を考えなくてはいけないから。ネガティブな状況はさまざまであり、そのたびに何かしらポジティブにとらえなおすというのは、やはり手間がかかりすぎるというわけです。

 そしてじつは、もう1つの理由のほうが深刻です。「コップに水が半分『しか』入っていない」ではなく、「コップに水が半分『も』入っている」と考えよう、というのが、いわゆるポジティブシンキングの方法ですが、これは、一瞬でも「半分『しか』」ととらえた自分を否定するということです。先ほどの仕事の例でいっても、「勉強になった」「今後の仕事に生きるはず」などとポジティブにとらえなおすのは、最初に「嫌だな」と感じた自分を否定した上でのこと。

 つまり、ポジティブな「とらえ方」を変えるというのを繰り返すとかえってしんどくなると指摘した、2つめの大きな理由は、それがつねに「自己否定とセットになっている」からなのです。自分にとってネガティブな状況でネガティブな感情が起こり、ポジティブにとらえなおそうとするたびに、自己否定感が積み重なっていくといっても過言ではありません。私が知る限りでも、むしろポジティブシンカーを自負する人ほど心を壊しやすいと言いますが、それも背景に自己否定があると考えればうなずけます。

 いかがでしょう? なぜ、ネガティブ感情の「原因探し」も「ポジティブへの変換」も、心を整える方法として得策ではないといえるのか、おわかりいただけたでしょうか。

 今まで、これらの方法でネガティブ感情を処理してきという方もきっと多くいらっしゃることでしょう。でも、それなら、もっといい方法があります。自分を『フロー』にするスキルを身に付けることです。

 そのスキルで一番大事なのは、『あらゆるものに意味なんてついていない』と考えること。それが真実だからなのです。先ほどのコップの水の例でいえば、「半分しか」でも「半分も」でもなく、「ただ半分ある」と事実をとらえ、そこで自分がすべき最適な行動をすることなのです。

 このスキルをライフスキルと呼んでいます。そのスキルがあれば、毎度異なる状況に労力を奪われることも、繰り返すほどにしんどくなることもありません。

 多少の訓練は必要ですが、ひとたび身についてしまえば、まさに充電コードをワンタッチでスマホに差すように、いつでも同じプロセスで心を整えられるようになります。

 いつ、どんな感情に襲われようとも瞬時に立ち直り、スッキリ晴れた心と頭で物事に取り組んでいけるよう、みなさんも自分を『フロー』にするスキルづくりを始めてみてください。


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