他にも、仏教伝来以前には鳥居の存在が見受けられないことから、仏教とともに外国から伝来したという説もある。インドのお寺にある「トーナラ」や中国の華表や牌楼、ほかにもアジアの少数民族の文化にも似た形のものがあり、伝来物がやがて日本で独自に変化していったとも考えられている。

●鳥居は神社だけのものではない

 このような経緯から、鳥居はお寺にも各所で据えられている。明治以前は神仏混淆だったため、お寺と神社の区別のない神さまが大勢いたためだ。大阪・四天王寺や奈良・金峯山寺の鳥居は重要文化財に指定されているため有名だが、東京の護国寺や高円寺などのお寺にもちゃんと鳥居は存在している。

 さて、鳥居をよく見ると形はさまざまで、分類すれば全部で60数種類にも及ぶという。海外からの観光客で人気の高い京都・伏見稲荷や広島・厳島神社、山口・元乃隅稲成神社などに代表される鳥居は「稲荷鳥居」と呼ばれるもので、朱塗りという特徴を持つ。街中でよく見かける鳥居も赤いお稲荷さまのものが多いだろう。

 ほかにも、木以外の素材でできたもの、たとえば石や銅などの金属製のものもある。

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