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歯を失う原因は、むし歯だと考えている人は多いでしょう。しかし日本人が歯を抜かなければならなくなる原因のトップは、歯周病です。日本歯周病学会と日本臨床歯周病学会の共著として発刊した書籍『日本人はこうして歯を失っていく 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方』(朝日新聞出版)から、歯周病の治療法を紹介します。
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歯周病の治療の基本は「細菌のすみかになっているプラークや歯石を取り除くこと」。まず、患者さん自身が毎日のブラッシングなどで汚れを落とす「セルフ・ケア」が不可欠です。
しかし、自分でブラッシングするだけでは、限界があります。汚れは単なる食べかすではなく、食べかすをエサにして作られた細菌の塊です。ネバネバした物質を出す細菌によって排水溝のヌルヌルした膜のような「バイオフィルム」ができていて、落としにくいのです。また、歯の表面の汚れはとれても、ブラシが届かない歯周ポケットには汚れが少しずつたまっていきます。
プラークは歯ブラシでとれますが、歯周ポケットの中や磨き残しのプラークは歯にこびりつき、そこに唾液中のカルシウムなどが取り込まれて石灰化し、ガチガチに固い「歯石」になります。
プラークができてから歯石になるまでは約2週間。歯石になってしまうと、もう自分では落とせません。歯科医院でとるしかないのです。
■歯科医院の専門的な技術で「削り落とす」
患者さん自身のブラッシングでプラークはある程度取り除くことができますが、こびりついたプラークや歯石は、一筋縄ではいきません。そこで歯科医院では、「スケーリング」と「ルートプレーニング」という方法で、機械的に汚れをかき落とします。
(1)スケーリング
プラークや歯石には薬液が浸透しないので、薬液で汚れを分解するといった化学的な作用を利用することはできません。そこで、先が鋭いスケーラーという道具を使って、カリカリと剥がして落とす「スケーリング」をおこないます。近年は超音波を利用して汚れをとる「超音波スケーラー」を使う歯科医院も増えました(スケーリング中に、チリチリチリ……という小さな音がする場合は、超音波スケーラーが使用されています)。
歯石の付き方にもよりますが、通常は数本ずつ分割してスケーリングしていくため、すべての歯の歯石を取り終えるにはおおむね2~6回、もしくはそれ以上の通院が必要です。