14年度もCO2は減っているので、2年連続というのは間違いではないが、それだけだと、「ああ、またか」ということになってしまう。14年度は消費税増税の影響で経済はマイナス成長だったので、CO2が減っても全く驚きではない。15年度に起きたこととは意味が全く違うのである。
ここまで書けば、皆さんおわかりだろうが、このニュースで特筆すべきことは、経済成長しても電力部門のCO2排出量が大幅に減少し、しかも、原発が全く動いていなかったとしても、大幅削減が達成できたということである。
過去にもプラス成長でCO2排出量減少という現象が起きたこともあるが、この時はたくさんの原発が動いていたから、今回とは全く意味合いが違う。
つまり、15年度は極めて画期的なことが起こったのである。
しかし、そんなことは、国民は知る由もなかった。大手メディアが報じないからだ。
●安倍政権にとって不都合な真実
ここで思い出してほしいことがある。
安倍政権は福島第一原発事故の教訓も忘れ、原発再稼働へとひた走ってきた。その際述べられた理由が以下の三つだ。
原発が停止したままだと
(1)電力不足になる
(2)電気代が高くなる
(3)CO2などの排出量が増えて、昨年閣議決定した目標(2030年度の温室効果ガス13年度比26%減)を達成できない。このままでは国際公約に反することになる。
ところが、まず、原発事故以降、日本中のすべての原発が停止しても、(1)の電力不足は起こらなかった。
また(2)の理由、原発は他の発電方式に比べてローコストという売り文句も通じなくなってきた。
この間、自然エネルギーが普及し、昨年来、デンマークや中東・南米などでは、風力や太陽光発電のコストがキロワット時当たり6円を切るというニュースが続いている。
一方、安全対策や廃炉などに巨額の費用がかさむ原発の発電コストは上昇を続け、今や少なく見ても10円超。ローコストどころか、ハイコストの代表だ。