北朝鮮有事の際の“原発リスク”について報じる大手メディアはあまりみかけない。
たび重なる北朝鮮のミサイル発射実験に際して、安倍政権は、今にも北朝鮮からミサイルが飛んでくるかのように「ミサイル攻撃」のリスクを声高に煽り、国民には「地下に逃げ込め」と呼びかけた。
その一方、原発がミサイルやテロ攻撃されるリスクについては、だんまりを決めこんだままである。
まともに防御対策を立てようとすれば、住民の避難計画の作り直しは必至。さらに、核燃料プールの地下埋設や各原発150名程度の警備の配備などを迫られ、原発再稼働ができなくなるからだ。
折しも5月17日には、関西電力高浜原子力発電所4号機が1年3カ月ぶりに再稼働した。6月には営業運転に入る予定だ。同原発3号機の再稼働も続く。
この高浜原発は、大津地裁で運転差し止めが命じられたほど、問題山積の危ない原発の一つだ。とりわけ、避難計画には大きな欠陥がある。運転停止中に行われた避難訓練もほとんどうまく行かなかった。
たとえば、台風が来ているわけでもないのに、避難用のヘリが「視界不良」で飛べなかったり、船も「波が高い」などの理由で使えず。代わりにバスを出したが、避難経路が1本しかなく、しかもその途上に高浜原発があって、放射能をまき散らしているはずの原発のすぐ真横を通過するという、大失態を演じている。しかも、その後、この状態を解消するような手立ては全く打たれていないままの見切り再稼働である。
この避難計画のひどさを端的に報じたテレビ朝日のニュース映像があるので、是非これをご覧いただきたい(http://news.tv-asahi.co.jp/news_economy/articles/000082747.html)。住民の「重大事故になったら、(高い)放射線量に向かっていくようなものだ」「避難経路が原発の横を通ること自体が異常。真剣にこの地区のことを考えているなら、そういうことはしない」という声がすべてを物語っている。