不安や孤独を抱えがちな日本のママたちを支える新制度「地域子ども・子育て支援事業」が全国で今年からスタートします。
お手本の一つとなっているのが、フィンランドの「ネウボラ」という制度。どのような制度なのか、「AERA with Baby 2015年6月号」で、フィンランド大使館に取材しました。
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各分野で男女平等が浸透しているフィンランドでは、パートナーが妊娠したときから、互いに助け合って出産し、共に育児をします。夫の育児への参加意欲がこのように高いのはなぜでしょうか。駐日フィンランド大使館のミッコ・コイヴマーさんに聞きました。
「フィンランドでは、『政府』が子どものいる家族に、健康面から精神面、経済面、夫婦の関係まで、切れ目のない細やかなサービスを提供しています」
その支援拠点となるのが、フィンランドが誇る「ネウボラ」という制度です。妊婦の99・7%が利用し、多くが公的医療機関に併設されています。ここには保健師や助産師の資格を持つ「ネウボラおばさん」が常駐し、妊娠がわかると、各種健診や悩み相談、子育て指導などのサービスを無料で受けられます。
妊婦の内診も子どもの予防接種もここ1カ所で済みます。1家族に1人のネウボラおばさんが担当となり、子どもが小学生になるまで、家族にずっと寄り添ってくれます。
これらの制度はパパたちの育児意欲にも影響を与えます。妊娠、出産、育児とどの時期においても、それぞれネウボラおばさんとの面談や健診が定められていて、夫が参加する両親学級も行われます。その中で父親としての心構えやスキルを教わっていくのです。
「なかにはパートナーが妊娠しても、親としての自覚のない男性もいます。でもネウボラおばさんに、『父親になる準備はできていますか?』と問われ、心構えを学習するうちに、赤ちゃんが生まれるころには、親としての自覚を持つことができるのです」