自立化が進む中で、従来の球団経営方式での問題と限界が露呈したことが大きい。

「潤沢な資金を持つと言われる巨人も厳しい状況であることには変わらない」

 NPB、MLB両方に詳しいスポーツライターは、巨人といえども金銭面ではMLB球団には劣ってしまうという。

「17年オフにマイルズ・マイコラスが退団、メジャー復帰した。本来なら菅野智之とともにチームを支えた投手を簡単に手放すはずがない。表向きはメジャーでやりたい本人の夢とか、家族の問題とか言っていた。しかし本当の理由は、巨人でもMLB球団とのマネーゲームには勝てないから。限られた予算を超えてまでは、引き止めなかったということ」

 マイコラスは17年の開幕投手をつとめ27試合に登板、14勝を挙げ、最多奪三振(187個)のタイトルを獲得。2年契約終了とともに巨人も契約延長を求めたが、セントルイス・カージナルスと契約した。金額は2年1550万ドル(約16億6000万円)と高額で、さすがの巨人にも支払える余裕はなかったのだろう。

 また、昨シーズンのオフにはFAの美馬学(楽天ロッテ)、鈴木大地(ロッテ→楽天)の獲得に名乗りを上げたが失敗。今後は、金銭面的なことも含め、FA選手など他球団の主力の補強も減るのではないかとも予想される。

「ここ数年、高額でチーム補強をしても費用対効果が悪い選手が続いた。今のところ大きな成功を収めているのは広島からFAで獲得した丸佳浩くらい。補強失敗は巨人らしい、と自虐的な声も聞こえ話題にもなっていた。それでもチームが勝てば良いが、CSシリーズ出場がギリギリの状態が続いた。昨年は優勝という結果を出したが、球団経営を圧迫していた要因の1つなのは間違いない」(前出のスポーツライター)

 かつての清原和博、江藤智から始まり、最近では岩隈久志、中島宏之など、次々に名の知れた選手を獲得したのは誰もが記憶しているところ。しかしその多くが期待ほどの成績を残していない。

『ビッグネーム至上主義』とも言えた従来までの方針から、大きな転換を図っている。

 2、3軍や育成選手から1人でも多くの戦力が生まれれば、少ない投資で済む。またファンからすれば『生え抜き選手』が多くなることで、球団への愛着や忠誠心が強くなる。まさに一石二鳥だ。

 ジャイアンツ球場など、球団施設の充実を図り、選手育成に本腰を入れ始めた。またドラフトでは将来性豊富な選手を指名。独自の中南米ルートも開拓するなど、才能ある若手選手を獲得し自前で育てるようにしている。

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