日経新聞が1月中旬、東大を除く全国22大学の学長にアンケートを実施したところ、回答した18校のうち9割近い16校が秋入学に前向きな姿勢を示した。慶応大と東工大、立命館大、関西大の4校はすでに「検討中」としている。
秋入学への流れが一気に加速しそうな様相だ。
東大が秋入学にこだわる理由はどこにあるのか。
教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹氏は、オネエ言葉に怒気をこめて、日本の大学が抱えてきた問題点を指摘する。「世界中で4月入学の国はインドなどたった7カ国しかないんですよ!
だから、日本の優秀な学生は海外に留学しづらく、人材育成が進まなかったんです。逆に、海外の学生も日本の大学に来づらい状況だった。一方で中国や韓国は海外留学生が増え続けている。人材登用のグローバル化が進むなか、日本は『鎖国教育』を続けたせいで、世界から取り残されているんです。秋入学は必然で、5年後の実現でも、私は遅すぎると思っていますよ」
そもそも日本の大学は、1872年に学校制度の法令ができてから、ずっと9月入学だった。ところが、1921年に会計年度に合わせる形で、便宜的に4月入学となった。以来、すでに90年がたっている。
現状では、通っている大学が単位互換制度などの特例を設けていない限り、海外留学すると卒業が1年遅れてしまう。
昨年5月の東大の学内調査によると、学部学生1万4千人のうち、海外への留学生はたったの53人。不況の影響があるとはいえ、卒業の遅れというリスクが、学生の留学意欲をそぐ大きな要因になっていることは否めない。