新入生を祝福するのは、満開の桜ではなく、うだるような残暑とセミの大合唱になるかもしれない。東京大学が5年後をめどに、学部の入学時期を春から秋に全面移行する方針を発表した。旧帝大や有名私大でも同調する動きが急速に広がっている。関係者は「世界に勝つため」などとなにやら鼻息が荒いのだ。
欧州危機の足音が高まり、立ちすくむ経済。未曽有の大震災と原発事故に、いまも有効な解決策を見いだせない政治。国民の閉塞感がいや増すなか、東大の浜田純一総長は1月20日、記者会見でこう語った。「今の日本は厳しい状況に置かれている。大学が変わることで、社会を変える条件を作りたい」
その最大の"起爆剤"が、この日、公表された東大の秋入学への全面移行構想だった。
浜田総長は、「東大単独で秋入学は実施しない。他大学と足並みをそろえることが大事だ」
と強調。4月をめどに北海道大▽東北大▽筑波大▽東京工業大▽一橋大▽名古屋大▽京都大▽大阪大▽九州大▽早稲田大▽慶応大の11大学と秋入学を検討する協議会を作り、大学側と経団連など経済界との間で、卒業も秋になった場合を想定して、学生の採用時期などについて協議する意向を明らかにした。
2年程度でこれらを議論し、残りの3年を周知期間にあてるとしている。