コロナ不況で将来が不安になる中で、年金で暮らせる「ケアハウス」(軽費高齢者ホーム)の人気が高まっている。あまり知られていないが、自治体が建設費と運営費を補助するので、他の高齢者ホームよりお得なのだ。ライター・栗原道子氏が利用者にその魅力を聞いた。
【写真】周囲は緑がいっぱいでマンションのような外観のケアハウス「グレープハウス」
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「コロナで自粛中でも散歩は自由です。周囲は緑がいっぱいあり、北里病院も近いです」
こう言うのは相模原市(神奈川県)にあるケアハウス「グレープハウス」に入居する80代女性だ。
グレープハウスは3階建てのマンションのような外観。築21年だが、中に入るとピカピカの廊下が目に入る。掃除が行き届いている。
部屋は全て個室で、一人用は24.48平方メートル、夫婦用は49.25平方メートルで広い。一人用24室、夫婦用3室で、定員は30名。部屋にはミニキッチンやトイレ、浴室などが付いている。費用は収入や人数などで異なるが、例えば、単身者で管理費を入居時に120万円支払った場合、家賃、3食付きの生活費、事務費、光熱費を含めて月額8万~10万円で済む。
ケアハウスは社会福祉法人などが運営する福祉施設だ。自治体から建設費・運営費の補助を受けている公共性の高い施設のため家賃などの費用が有料高齢者ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)よりお得だ。
ケアハウスには自立支援型と介護型の二つの種類がある。自立支援型は独居生活に不安を抱える60歳以上、介護型は要介護1以上の65歳以上が対象だ。
自立支援型は介護サービスは付いていない。介護が必要になった場合は、外部の介護サービスを契約するか、退去する必要がある。介護型は衣服の着脱、ベッドから車椅子への移乗、食事やトイレ、洗顔、入浴の介助、病院への送り迎えなどを行う。要介護度が上がっても住み続けることができる。看取りまでしてくれるところもある。また、入居時は「自立型」で、最期まで看てくれる「介護型」を併せ持つ「混合型」もある。