「18年オフに丸佳浩を広島から獲得した際には、各方面から批判が殺到した。あれだけの選手だから、FA権を行使すればどこの球団も欲しい。巨人を選んだのは丸自身の権利だった。また長年センターラインに悩まされていたこともあり、最大の補強ポイントだった。勝つためには当然の戦略であり、それが当たってリーグ優勝もできた」(巨人関係者)

「今年もDeNAからFAで井納翔一と梶谷隆幸が加入した。先発、ブルペンを両方こなせる井納と外野すべてを守れてスピードある梶谷。予算など含めて余裕があったので獲得したのだから、問題はない。シーズン通じて活躍できなくても、調子を見極めて使えば良い。また賛否両論あるだろうが、相手戦力を低下させることもできる。今年のDeNAを見れば効果的面なのがわかる」(巨人担当記者)

 巨人は勝たなければならない。強くなければ意味がない。

 球団関係者、巨人ファンすべてが望んでいることであり、補強を積極的におこなうのは当然のこと。だが、それに伴い各チーム間バランスが崩れ、リーグ自体に魅力がなくなることを問題視する声もある。しかし巨人ファンにとっては「勝つことが何より大事」という考えがいまだに主流なのは間違いないだろう。

「ファンのためにも、現在のやり方を突き詰め、勝つことが巨人にとって最大のタスク。最大の顧客サービスであり、企業努力として間違っていない。多少の問題はあるが、球界最大派閥である巨人ファンが喜べば盛り上がるのも確か。その巨人に他球団が勝つから、アンチも喜ぶわけです。今後のプロ野球も、そういった流れが続くのではないでしょうか」(在京テレビ局スポーツ担当)

 巨人の補強戦略では、いわゆる「飼い殺し」状態で出場機会に恵まれない選手も出てくる。しかし坂本や岡本のような現主力は、熾烈な戦いに勝ち抜き現在の地位にいる。確固たる意思と覚悟を持って、野球に取り組んでいる選手は頭角を表しチャンスを掴む。

 巨人軍の伝統は勝つことである。巨人ほど勝利への執着心が強く、チーム内での弱肉強食があるチームはない。今季もそんな環境の中で誰が勝ち残るのか、そしてリーグ3連覇があるのか、注目が集まる。