■グラム単位で食事管理

 アスリートにとって、食事管理は欠かせない要素の一つ。必要な栄養が取れていないと、本来の力は出せない。若さや練習量で一定の記録まではたどり着けても、トップにはなれない。

「それだけでは、もうワンステップ上がれないという時期があるんです。勝ち残る人は、練習以外の時間をきちんと管理できている。そこで差がつくんだと思います」

 17年5月の結婚以来、馬淵さんは瀬戸を食事面でもサポートしてきた。スポーツ選手に特化した食事や栄養バランスの取り方を習得した人に与えられる民間資格「アスリートフードマイスター」を取得。食材や食べた量をグラム単位で量り、必要なエネルギーが摂取できているか調査をしたこともある。

 馬淵さん自身も飛び込み選手だった。食事管理を苦に感じることはないが、「競泳選手にとって必要な食事」に頭を切り替えるのには時間がかかった。

「飛び込みの場合、少しでもきれいに飛べるよう、試合前にはあまり炭水化物を取りません。それに比べて持久力がいる競泳は、エネルギーをためるために米をしっかりと食べなければいけない。頭のなかでは理解できていても、食べ過ぎたら太るという感覚がしばらく抜けませんでした」

 意識しているのは、炭水化物の量だけではない。親子丼を作るときは、脂質の少ないサラダチキンを活用。低カロリーで高タンパクなので、体づくりにも一役買う。食欲がないときには、ポン酢などさっぱりした調味料で食が進むよう工夫する。

「アスリートには血液をサラサラにするEPAやフィッシュオイルも大事なので、週に2回は魚を出すようにしています。サプリメントだけじゃなく、食材からも栄養をとるほうがいい。本人は肉のほうが好きみたいなんですけど」

■「妻だのみ」はNG

 テーブルには、野菜たっぷりのみそ汁や大皿に入った料理がドンと並ぶ。食事はなるべく同じ時間にとるようにしている。

「最初に汁物で胃を温めて、夜は腹八分目を意識しているみたいです。その日のエネルギーになる朝ごはんが一番大事なので、起きたときに『おなかがすいた』とエネルギーが枯渇している状態がいいんです」

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