東大とオリンピック。

 究極の「文武両道」であるが、この両者を果たすのはかなりむずかしい。だが、やってのけた学校がある。神奈川県横浜市の聖光学院だ。

 今年の東大合格者数で、聖光学院はすごかった。合格者100人は開成に次いで初めての2位となり、現役合格率(37.5%)でも筑波大附属駒場に次ぐ2番目の高さとなった。

 一方、2024年オリンピックパリ大会のボート競技で、聖光学院出身の荒川龍太さんが出場することが内定した。

 荒川さんは2013年、聖光学院から現役で一橋大法学部に進んだ。同校のフェイスブックがこう告知する。

「【50期荒川龍太さん パリ五輪出場内定!】本校50期OBの荒川龍太さん(一橋大学法学部~NTT東日本)が、ローイング(ボート)で東京オリンピックに続き、2大会連続選出となるパリオリンピック代表を内定したことを受け、一橋大学で壮行会が開かれました。本校校長工藤も駆け付け荒川選手を激励いたしました。みなさまもどうぞ荒川選手の応援よろしくお願いいたします」(2024年5月1日)

 荒川さんは前回の2021年オリンピック東京大会にも出場している。このときに挑んだシングルスカルでは残念ながら11位に終わり、メダルには届かなかった。

 その後、荒川さんは、23年アジア競技大会ボート男子シングルスカルで銀メダル、ワールドローイングカップの男子シングルスカルで銅メダルを獲得するなど、力をつけてきた。オリンピック2度目の出場となるパリ大会で、メダルの獲得が十分に期待できる。

 AERA dot.では、2021年オリンピック東京大会直前に荒川さんへのインタビューをまとめた記事を掲載している(21年7月取材)。当時の記事を再録しよう。(以下の記事は、2021年7月23日に配信した内容の再配信です。肩書、情報等は当時)

*  *  *


 東京2020オリンピックのボート競技種目、男子シングルスカルに、NTT東日本所属の荒川龍太選手が代表として出場する。

 荒川選手は1994年神奈川県横浜市生まれ。2013年、神奈川県屈指の進学校・聖光学院高校を卒業し、一橋大法学部に進学した。中学高校時代はバスケットボール部で活躍し、大学に入ってからボートを始めている。

次のページへボート部の勧誘で、かっこいいPVに惹かれ入部
著者 開く閉じる
小林哲夫
教育ジャーナリスト 小林哲夫

1995年より『大学ランキング』の編集者。『筑駒の研究』(河出新書)、『学校制服とは何か その歴史と思想』 (朝日新書)、『女子学生はどう闘ってきたのか』(サイゾー)、『旧制第一中学の面目』(NHK出版新書)、『東大合格高校盛衰史』(光文社新書)、『早慶MARCH大激変 「大学序列」の最前線』(朝日新書)など、教育・社会問題についての著書多数。

1 2 3 4