高岡商の吉田さんは、2000年に札幌南が61年ぶりに甲子園出場したときのメンバーだった。同校は1895年創立。旧制の札幌一中時代から進学校として知られていた。00年、札幌南からの北海道大合格者は129人で道内トップだった。東京大にも8人合格していた。

 吉田さんは北海道教育大を卒業後、富山県内の特別支援学校勤務を経て、2012年に高岡商に赴任、翌年から同校の監督をつとめる。2015、17、18、19年に出場している。

 吉田さんが初めて甲子園で指揮をとった2015年、オコエ瑠偉(現・楽天)を擁する関東第一と対戦したとき、3回まで0対8と大量リードされていた。しかし、同点に追いつく。最後は10対12で負けたが、強豪校相手に一歩も引かなかった。2018年は3回戦で大阪桐蔭とぶつかり、1対3で敗れてしまう。同年は、大阪桐蔭は藤原恭大(ロッテ)、根尾昂(中日)のドラフト1位の強打者がおり、春夏連覇を達成している。絶対王者と互角に戦った高岡商は大健闘といえよう。今回、高岡商は1回戦で松商学園に4対17と大差をつけられて敗れたのが悔やまれる。

 進学校出身の監督をもう1人紹介しよう。

 高松商の長尾健司さんは香川県立丸亀高校から順天堂大に進んだ。丸亀は県内で高松高校に次ぐ進学校として知られる。

 長尾さんは大学卒業後、中学校に21年間つとめた。この間、香川大附属坂出中学を全日本少年春季軟式野球大会に出場させている。国立大学附属中学校には親が教育熱心で成績優秀な生徒が集まり、多くは地元の進学校(香川では高松高校、丸亀高校など)に進む。生徒は勉強にかなり力を入れていることもあって、スポーツで全国大会出場はめずらしい。

 かつて長尾さんはこんな話をしていた。

「付属中学は進学校で練習時間が短い。16時開始で17時下校です。片づけを含めたら45分しか練習できません。部活動の成果を期待している人もいなければ、生徒も香川県で1番になろうなんて思っていない。でも授業を見ると、教科書より発展した内容を生徒が自ら関心を持つように教師が工夫をし、指導をしていくというテーマを掲げていましたから、部活動でも取り入れてみようと思いました。『45分でどうやったら勝てるのか』を問い、効率性を重視する考え方をするようになりました」(「ニュースイッチ」2017年5月4日)

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高松商・長尾監督の手腕