13歳の誕生日に数字入りのお手製の首輪をして(提供)
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 飼い主さんの目線でのストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回お話を聞かせてくれたのは、埼玉県在住の公認心理師の洋子さん(仮名、42歳)。一昨年12月9日、12歳の保護猫を迎え入れました。心根の優しい雌猫で、洋子さんがつらいときにはそっと寄り添ってくれました。しかし、これから落ち着いて生活をというときに、難病が見つかります。それでも「私の元に来たのには意味があった」と洋子さん。出会いと別れの約1年間の物語です。

【写真】顔を隠しておねんね。無防備な猫の姿におもわずほっこり。

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 私の愛猫の話を聞いていただけますか?

 猫の名前は「ふわちゃん」といいます。昨年の12月22日にお空に上りました。一緒に過ごした時間はわずか1年と13日。でも、なぜか最初から心が通じていて、振り返ると猫のお世話をすることで私のほうが救われたのだと感じています。

 ふわちゃんの元の飼い主さんは、都内で独り暮らしをするおじいさんです。ふわちゃんと数匹の兄妹猫を飼っていたのですが、病気で入院することになり、家に取り残されていたところを、ボランティアさんが救出したのです。

 どうして私の家に来たかといえば、猫のお世話をするボランティア活動をテレビで知り、「私も猫ちゃんの助けになりたいな」と思ったことがきっかけ。私は10年ほど前から自宅の一室でカウンセリングをしており、相談の合間に少し時間があるので、動物の様子をみることができたのです。

 試しに保護サイトを見てみたら、たくさんの“行き場を失った”猫たちがいて衝撃を受けました。そこで一目惚れしたのが、ふわちゃんです。お鼻がハートマークで、目の縁のアイラインもくっきりした美猫さん。サイトにはすでに保護の申し出がある猫もいましが、ふわちゃんは年齢のせいか、誰からもお声がかかっていなかったのです。

 12歳といえばもうシニア。私も年齢が気にならなかったといえばうそになりますが、それ以上に引き寄せられるものがありました。

 ふわちゃんは、一昨年の12月9日、私が1人で住む3DKのマンションにやってきました。

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青天の霹靂ともいうべき出来事