■磐田「C」

 栄光のサックスブルーが3年ぶりにJ1の舞台に戻ってきた。J2優勝を果たした昨季の流れを継続したいところだが、エースとして41試合で22得点を決めたFWルキアンが福岡へ移籍したのは大きな痛手だ。代わりに日本代表経験もある杉本健勇(←浦和)を獲得したが、2018年以降リーグ戦では5得点が最多のFWにどこまで期待できるのかは未知数だ。その他のFW陣を見ても、同じく新加入のジャーメイン良(←横浜FC)は昨季31試合で2得点、来日2年目となるファビアン・ゴンザレスは19試合で1得点。期待されていた小川航基も退団し、最前線は心許ない。

 ただ、中盤以下を見ると、期待は高まる。東京五輪でU-24ブラジル代表に選ばれていたDFリカルド・グラッサ(←ヴァスコ・ダ・ガマ)は期待大。中盤の底には、新外国人のMFドゥドゥ(←ヴィラ・ノヴァ)を加え、闘志と技術を併せ持つMF上原力也(←仙台)もレンタルバック。GK梶川裕嗣(←横浜FM)、DF袴田裕太郎(←横浜FC)、MF黒川淳史(←大宮)もレギュラーとして活躍できる実力を備えている。さらに冬の高校選手権を沸かせた古川陽介(←静岡学園高)も楽しみで、遠藤保仁の完全移籍も朗報だ。今季からチームを率いる伊藤彰監督は非常に優れた手腕を持っており、ルキアンに代わる最後の“仕上げ役”させ見つかればJ1の舞台でも勝者のサッカーを貫ける。


■名古屋「C」

 豊富な資金力をバックに戦力は整っており、昨季はリーグ戦5位もルヴァン杯を初制覇した。その上で、今冬には強靭なフィジカルが武器のFW酒井宣福(←鳥栖)、様々な場所から攻撃にアクセントを加えられるMF仙頭啓矢(←鳥栖)、攻守に貢献度の高いボランチのMFレオ・シルバ(←鹿島)らを獲得。DF陣にもJで実績のある長身CBのチアゴ(←C大阪)と中央と左SBの両方でプレー可能な河面旺成(←大宮)を加えた。

 だが、ネームバリュー的にはやや物足りない補強でもある。そして退団者の面子も気がかりで、中盤を支えていたMF米本拓司を筆頭に、FW前田直輝、FW山崎凌吾、MFガブリエル・シャビエル、DFキム・ミンテ、DF木本恭生と実力者たちが並ぶ。穴埋めの補強はしたが、戦力値的には大幅アップしたとは言えず、現状維持に近いものがあるだろう。まずは新加入の面々が、今季からチームを率いることになった長谷川健太監督の信頼を勝ち取ることが大事だ。ユースから昇格したMF甲田英將、MF吉田温紀、FW豊田晃大(いずれも名古屋U-18)にも期待したいところだが、ドーピング問題が解決していないFWシュヴィルツォクの去就、さらに36歳のレオ・シルバに衰えが見えるようだと、現状維持ではなくマイナスにもなり得る。

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12年ぶりJ1復帰の京都は…