マリさんは病院に電話をしてもなかなか対応してもらえず、近所の友人たちが届けた解熱剤を飲んで家で闘病し、10日後にやっと入院……。みーちゃんはぽつんとマリさん宅に残されていたのです。入院翌日、マリさんは薬を届けてくれた友人の一人に「餌をあげてほしい」と連絡し、その方がみーちゃんを一時的に引き取りました。
しかし、その方も長期に世話をするのは難しかったようで、数週間して「どなたかみーちゃんの面倒をみてくれたら」とFacebookに記されていました。その言葉に私は即座に反応しました。マリさんは「旅行時には世話を頼みたい」と言ってくれていたので、今度は私が預かろう、と 思ったのです。
そうして4月17日、私はみーちゃんを迎えに行きました。なにしろ当時のマンハッタンはゴーストダウン。不要不急で外に出にくい時期でしたが、みーちゃんの引き取りは必要火急と思い、ガラガラの電車に乗って行きました。
みーちゃんは保護猫で、 すごく人見知り。迎えに行ったらトイレの奥に隠れてしまった。それで4時間くらいその友人宅でお喋りをしながら待ち、そろそろ平気かな?と思ったころに、ケージにいれて自宅に連れて帰りました。
◆大好きなマリさんを思い出していたのでしょう
みーちゃんがわが家に来た晩のことは今でもはっきり覚えています。
みーちゃんは自宅につくと、緊張のあまり玄関にうずくまってしまいました。そのまま2時間ほど経過。私がリビングでストレッチをしていたら、ふわ~っとした感覚が足にあり、見るとみーちゃんが傍らに。「あ、初めての挨拶をしてくれんだ」と感動しました 。寝る時にも、ベッドの足元に来てくれました。
翌日にはふつうにごはんを食べて、トイレにも行きました。
来たころは、まだ遊びたい盛りで、1メートルくらい離れたところからばっとじゃれつくことも多かったです。こんなふうに遊びながら、「マリさんの帰りを待てれば」と思いました。
共通の友人たちと共にマリさんの回復を願い続けた日々。マリさんの友人たちとお見舞いの動画を撮って病院に届けることになった時、私はみーちゃんを膝に乗せ、「みーちゃんを大切にお預かりしているので、早く元気になってね」とメッセージを送りました。