飼い主さんの目線で猫のストーリーを紡ぐ連載「猫をたずねて三千里」。今回、話を聞かせてくれたのはニューヨーク在住の日米の 公認会計士、須能玲奈さん。在米12年の 須能さんが一緒に暮らしているのは、2年前にコロナで急逝した友人が飼っていた猫です。悲しみのなか引き継いだ愛しい命と、不思議なご縁について話をうかがいました。
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現在、私はマンハッタンのマンションで2歳11カ月のキジ猫と暮らしています。名前はMii Mii、愛称は「みーちゃん」。2020年4月、ニューヨークがロックダウンになった直後に迎え入れました。
みーちゃんは小柄だし名前もメスのようだけれど、オス。そして生まれはアメリカでなく、埼玉県なのです。
みーちゃんがどうしてアメリカに来て、どのように私と出会って生活を共にするようになったか。
その前に、私の話を少し…。
私は幼少のころから英語が好きで、大学では国際交流のサークルに入り、卒業後は日本の監査法人の国際部に勤めていました。海外で暮らすことが長年の夢で、大学時代にニューヨークを旅した時に「あ、この街 だ」と直感。それから10年後の2009年の夏に学生ビザで渡米しました。 初めは語学学校に通い、その後、就職してこの街で暮らし始めたんです。
昔から動物、とくに猫が好きで、こちらでも「いつの日か」と思ってはいました。しかし、出張が多く 、すぐに飼う余裕はなかったのです。
◆渡米もドラマチックだった
みーちゃんは元々、ニューヨークに住むマリさんという日本人の友人の飼い猫でした。
ファッションコンサルタントのマリさんは、気さくで、背が高く おしゃれで恰好よい方。生き方もすてきで、20代で日本のトップデザイナーのもとでデザインを学び、その後ニューヨークに渡って、ファッション業界で長くキャリアを築いてこられたのです。
共通の友人を通じて、2019年2月にファッションコンサルをお願いしたのが、私とマリさんとの出会いです。