けれど7月中旬、右目に今度は黒い小さいシミが現れました。また写真を撮って先生にみてもらうと、「様子をみましょうか」と首をひねって。そうこうしているうちに、いつも猫たちみんな食べるおやつの時間に、双樹だけやって来なくなりました。
当時、北海道はすごく暑かったので、「夏バテしたのかな」と思って体に手を伸ばしてみました。するとそれまでほとんど触れなかったのに、ゆっくりなでさせてくれたので、「これはおかしい」と思いました。
ぐたっとした双樹をキャリーバッグにいれて、病院に連れていくと、「感染症のトキソプラズマかFIP(猫伝染性腹膜炎)かもしれない」とのことで、血液検査をしました。
ええ!と思いました。FIPは、猫コロナウイルスが原因で発症する病気で、致死率の高い、こわい病気です。でもボランティアさんの家でもずっと元気でいたし、FIPを発症するなんて、考えてもみなかったのです。
今まで実家で飼った猫も、年をとって腎臓病になったり、がんになったりしたことはあったけど、FIPにかかった子はいませんでした。
検査結果はその日に出ず、(FIPと仮定して対症療法の薬をあげることになり)家に連れ帰りましたが、双樹はごはんが食べられなくなり、一気に痩せていきました。
具合が悪くなったのは4連休の前だったのですが、獣医さんが特別に連休中に往診してくださり、「明日も来ます」と言ってくださったのですが……残念ながら、連休3日目の夜、双樹はその往診を待たず、私たち夫婦と猫たちに囲まれて、息を引き取りました。(元気がなくなってから、たったの5日です)
連休後に検査結果が出たのですが、やはりFIPでした。目のシミもそれに関連する病変のようでしたが、自分で調べても、症例はほとんど見つけられませんでした。
猫コロナウイルスは猫の体内で変異して、それがFIPとして発症し、体に悪さをします。ずっと一緒にいた兄弟だと(母猫から)ウイルスをもらっているかもしれないけれど、ウイルスが変異するかしないかは、個体によって違うといいます。原因もよくわからないようです。