女子学生全体からみた専攻分野別の割合について、2000年と21年を比べてみよう。
<2000年>
人文科学(文)30.2%
社会科学(法、経済、商など)29.3%
保健(看護など)6.2%
工学5.1%
<2020年>
人文科学(文)19.9%
社会科学(法、経済、商など)25.0%
保健(看護など)15.7%
工学5.0%
なるほど、保健(特に看護系)が増えたことがわかる。
女子学生が志向する専攻分野にも大きな変化が見られるが、これにはその時代の社会のあり方も関係しているようだ。
安東さんはこう分析する。
「1990年代半ばから10年以上も続く就職氷河期を迎え、特に人文科学分野を中心に文系の女子学生は就職に苦労しました。そのような様子をみて、女子生徒や保護者らは『手に職を』と考えるようになります。こうして人文科学分野よりも看護系学部を選ぶようになったと言えます」
もっとも、女子学生の絶対数は増えており、減少傾向にある人文科学分野を除いた、専攻分野の学生数は大きく減少してはいない。社会科学分野の学生数は、この20年ほど大きな変化はないが、たとえば経営や商などビジネス系学部が女子学生に注目され、女子大学でも経営系の学部が相次いで誕生した。昭和女子大、共立女子大、武庫川女子大、園田学園女子大、安田女子大などだ。安東さんが続ける。
「社会科学分野では、法、経済よりも商、経営系のほうが人気は高く、女子学生の比率が高くなっています。企業で経営戦略にかかわり新規ビジネスを作り出し、購買権を握る女性をターゲットとした新しい商品開発を手がけるなど、女子学生にとって魅力的な仕事に結びつくということなのでしょう。起業を目指す女子学生も少なくありません。そもそも女子学生の意識が変わりました。専業主婦志向がかなり弱まり、一生働き続けるというライフプランを立てるようになってきていると思います」
■リモート授業を整備すれば地方の女子の進学率は高くなる?
進学率を性別ごとにみると、男子のほうが女子よりも10ポイントも高い県がある。たとえば山梨、北海道、埼玉など。女子進学率は東北、九州、中国(山口など)は30%台が多く、東京の約半分となっている。その背景について安東さんはこう説明する。