「地方には4年制大学が少ない、保護者の年収が低い、県外進学には食費や部屋代など余分な経費がかかるなど、大都市部の家庭と比べて二重苦、三重苦という現実があるからです。これを解消するには、地方の国立大学の収容人員増が手っ取り早いですが、財政面や入試の面などからも実現は難しい。私立大学を誘致しても学生募集で苦戦し、厳しい経営状態は目に見えています。公立大学化も自治体によっては困難を極めます。一つの光明は、コロナ禍でリモート授業での単位取得の上限を撤廃するなどの動きがあることです。今後、地元にいながら、大都市部の大学に進学でき授業を受けられるようになれば、地方でも女子学生の進学率は高くなることが期待できます。もちろん、多くの課題はありますが」

■グローバル化、教育内容の魅力化、施設の整備で女子を増やす

 いま、日本では政官財そして学者の世界において、女性幹部職の割合は極めて低い。業種、職種によっては女性が1~2割というところもある。2010年代、大学進学率で女子が半分を超えたことによって、こうした男性社会を変えることができるか。安東さんは楽観視していない。

「各分野で女性が高い地位に就くためには、政治、官僚、企業、学界などで男性優位の体質が変わらないと女性の社会進出はむずかしい。管理職になりたくない、校長はいやだ、という女性も少なくないようです。国が各分野で女性を増やせといっても、旧態依然とした職場環境では効果はないでしょう。女性が働きやすい環境とロールモデルを作っていくことが大切です。クオータ制の導入が必要かもしれません」

 女子学生の進学率は「今後上昇する」と安東さんは見ている。

「少子化が進む中、どの大学も優秀な女子学生を受け入れたい。早稲田大、明治大、法政大、関西大などのバンカラなイメージがある共学校でも、女子学生を増やす目標を立て、グローバル化、教育内容の魅力化、施設の整備などを進めています。30年までには女子の進学率は60%近くまでいくと思います」

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