週刊朝日2022年5月27日号より
週刊朝日2022年5月27日号より

 三井住友銀行では、顧客が希望する介護や葬儀の要望などの情報を預かるサービス「SMBCデジタルセーフティボックス」を始めた。認知症などになった際、預かった情報を、顧客があらかじめ指定した相手に伝える。月額990円(税込み)。

 地域密着の地方銀行、信用金庫はさらにきめの細かいサービスが実施されている。

 枚方信用金庫(大阪府枚方市)が実施する、高齢者支援サービス「巡リズムR」は、毎月の見守り、ウェアラブル端末を貸与する健康管理のほかに、緊急時の駆けつけなどサービスを拡充させた。

 金融機関が窓口になり、顧客の悩みに応じて、提携先の地元の業者を紹介するシステムだ。終活アドバイザーでファイナンシャルプランナーの廣木智代さんはこう語る。

「エンディングノートに何を書いたらいいのかわからない、介護が始まったときや、葬儀を行うときにはどれだけのお金が必要なのか。またはスムーズに相続するためにはどんな準備をしたらいいのかわからない、とお金にまつわる漠然とした不安を抱く人たちがいます。そういったニーズがあることから金融機関では終活セミナーの開催が増えています」

 セミナーを入り口に、金融以外のサービスを拡充させてきたと語るのは、鎌倉新書事業推進部の五島健二さん。同社は金融機関と提携して、終活に関するさまざまなサービスを提供している。

 介護施設の紹介や物の整理など、高齢期の生活支援や、お墓の購入や墓じまいの支援もある。

 都内に住む女性(80代)は、遠方に先祖代々のお墓がある。近くに住む親族(80代)がお墓を管理していたが、体調を崩してしまい、女性が管理を代わることにした。

 これから先も、お墓まで通い続けるのは困難なので、五島さんたちが紹介した事業者の支援のもと、都内にお墓を移したという。このような「困りごと」も、金融機関の終活支援サービスの窓口を経て、解決することができるという。

「金融機関と提携している業者なら安心してまかせられる、といった安心感があることから、利用者は増えています」(五島さん)

 まずはエンディングノートを書きながら、自分自身の「困りごと」を棚卸ししてみよう。

 銀行口座を複数開設していると、本人が亡くなった後、相続人は口座を解約するのに大変な苦労をする。本人が元気なうちに休眠口座を解約してもらうのが一番だが、その際、自分が必要とする終活サービスを実施している金融機関を選び、ほかは解約するという選択肢もある。

 町内会や銀行など、身近なところに「救いの手」はある。自分の身の回りにある資源を探して活用してみよう。(ライター・村田くみ)

週刊朝日  2022年5月27日号

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