週刊朝日2022年5月27日号より
週刊朝日2022年5月27日号より

 中学校区におおむね1カ所ある「地域包括支援センター」に困りごとを相談すると、解決先を教えてくれる。

「困りごと」の解消に取り組む町内会もある。廣木さんが会長を担当した町内会では、高齢のため町内活動を負担に思う人が増えてきた。

 Aさん(80代)は「高齢なので町内会をやめたい」と言いだした。

「会議に出るのはしんどい。あまり役に立てることがないので申し訳ない」(Aさん)

 町内会から脱会してしまうと、地域から孤立して孤独死のリスクが高まってしまう。それを防ぐためにも、高齢者には役割を免除する代わりに、ゴミステーションの清掃をお願いするなど、負担のない範囲で町内会の活動に参加してもらうようにした。

 足腰が不自由になると、買い物や病院に行くのに不便になる。町内会では運転免許証を返納した高齢者が、買い物難民にならないために、乗り合いタクシーの活用を勧めている。

「タクシーの運転手さんが、玄関まで荷物を運んでくれたのでとても快適でした」と語るのは、Bさん(80代)。

 運転免許証を返納してから、自治体が地元のタクシー会社と提携して運行している「デマンド型交通」を利用している。

 利用者は年会費500円支払えば、高齢者に限らず誰でも1回300円で利用できる。病院やスーパー、飲食店、美容室など、行き先と往路の運行時間は決まっていて、復路は予約して迎えに来てもらうシステム。

 ある日のこと。CさんとDさん(ともに70代)は、ショッピングモールに一緒に買い物に出かけた後、食事を楽しみ、お酒を飲んで帰ってきた。

「免許を返納しても困らない、行動範囲も今までと変わりなくエンジョイしているという声もありました」(廣木さん)

 また、廣木さんの母親が入院後、在宅で療養していたときに、近所の人が廣木さんの留守中に傷口のガーゼ交換などを手伝ってくれたこともあった。食材を提供してもう一人が料理をするといったように、助け合いが自然に起きている。“醤油の貸し借り”ができるような近所付き合いを普段から心がけておくことも大事という。

■「困りごと」を金融機関が支援

 最近、銀行や信用金庫の間では口座開設者向けに、相続やお墓の購入といった終活から、家事など高齢者が抱えるあらゆる「困りごと」を支援する動きが出てきている。

 地域に頼れない人、あるいは、町内会の活動が活発に行われていない地域に住む人の「頼れる先」になっている。

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