北野高校は03年に新校舎となったが、校内には第2次世界大戦の弾痕を残す旧校舎の壁が「メモリアルウォール」として保存されている(写真:同校提供)
北野高校は03年に新校舎となったが、校内には第2次世界大戦の弾痕を残す旧校舎の壁が「メモリアルウォール」として保存されている(写真:同校提供)
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 今年の入試結果と10年前(早稲田、慶應は5年前)を「大学通信」の協力を得て比較した。難関20大学の合格者数ランキングで、京大合格者数が急上昇中の「大阪府立北野高校」に着目し、その合格力の理由を探った。AERA 2022年6月6日号の記事から。

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 関西方面を見てみよう。主要私立大「関関同立」の上位には公立校がずらりと並ぶが、10年で入れ替わりが非常に激しいことがわかる。私立より公立優位とされる土地柄で、各校が切磋琢磨(せっさたくま)している状況だ。

 そんな中、リードしているのは、大阪府立北野高校だ。1873(明治6)年創立、漫画家の手塚治虫や俳優の森繁久弥、橋下徹元府知事、有働由美子アナウンサーらを輩出した、全国的に知られる「関西最強」の公立高校だ。京大の現役合格者数は、5年連続で1位。同校の佐々木里佳教頭は、「授業第一主義。そして、文武両道。この二つがあるから、それぞれの生徒が、居場所と生きがいを見つけて頑張れる」

 高いレベルの授業が超ハイペースで進む。英語と数学は高2の10月までに履修すべき内容を終えるというから、ついていくためには日頃の予習・復習を怠るわけにはいかないという。

 一方で、保健体育なども真剣だ。伝統的なのが、ビニール製ではなく、重い縄を使用しての縄跳びだ。学年ごとに二重跳びの目標回数が決められていて、そのための補習も行われる。

「なんぼかかっても、やりきる。達成感を得てほしいという大切な教育です。その一貫性が北野の強みです」(佐々木教頭)

 同校を卒業し、筑波大へ進学した男性会社員(36)は、

「京大、大阪大、神戸大の『京阪神主義』が強かったが、頑張ること、努力することが恥ずかしいことではないという雰囲気が最高だった。我が子も通わせたいと思う」

 私立中高一貫校の西の雄・灘(神戸市)が少々順位を落としていることが気になったが、大学通信の井沢秀・情報調査部長は、「今年の東大合格者数は確かに減っていますが、東大と京大の合計合格者数は12年と大きな差はない。年により、東大受験者が多い、京大受験者が多い、国公立大医学部受験者が多いなどの特徴があるだけ。決して、灘の実力が下がったわけではないと考えています」

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