■広がる回収取り組み

 スポーツ用品販売大手の「アルペン」は20年2月からブリングに参加した。約400店舗で毎月1トン超の服を回収している。担当の柴田利佳さんは「スポーツ関連の衣料品は吸汗速乾機能を付加するためポリエステル素材の商品が多く、ブリングのポリエステル再生技術を効果的に活用できると思います」と話す。

 ブリングは19年以降、自社ブランドのアウトドアアパレルの製造販売も手掛け、回収から再生、販売まで手掛ける「服の六次産業化」ともいえる循環システムを確立した。中村さんは意図をこう説明する。

「消費者一人ひとりに、『服は資源なんだ』と気づいてもらうことが大事だと考えています。そのために自分たちのブランドを立ち上げ、再生した服を消費者に直接届けるところまで手掛ける必要があると考えました」

■服の履歴DNA表示も

 20年4月にオンラインストアでの販売を本格スタート。昨年11月には東京・恵比寿に実店舗もオープンした(営業日は水、木、金、土曜日)。商品はTシャツやスウェットなど約40種類。再生ポリエステル100%の素材を使用したデニム生地のバッグやジーンズも販売している。中心価格帯はTシャツが4千円台、ポロシャツが約7千円など。デザインはオールジェンダーを想定し、子どもからシニアまで幅広い層を見込む。

 同社が構想しているのが、タグに服の履歴を表示する「DNA Tシャツ」の開発だ。

「例えば、ジョン・レノンが着ていたTシャツの素材を使って新しくTシャツをつくることも可能です。タグのQRコードを読み取ると、イマジンの曲が流れてくる。そんなストーリーも織り込むことができれば、消費者に大事にしてもらえる付加価値のある商品を提供できると思っています」(中村さん)

 服の履歴にワクワクできる未来もそう遠くなさそうだ。(編集部・渡辺豪)

AERA 2022年6月6日号