回収した古着を原料にした服が並ぶ東京・恵比寿の店舗。吸水速乾機能などを備えた再生ポリエステル100%のデニムも人気[写真:日本環境設計(6月1日からJEPLAN)提供]
回収した古着を原料にした服が並ぶ東京・恵比寿の店舗。吸水速乾機能などを備えた再生ポリエステル100%のデニムも人気[写真:日本環境設計(6月1日からJEPLAN)提供]
この記事の写真をすべて見る

 ほとんど着なかった服を捨てるのはもったいない。着古した思い入れのあるものを捨てるのも忍びない。服を処分する際、そんな葛藤や罪悪感にさいなまれている人に紹介したいのが、服からつくる服だ。AERA2022年6月6日号の記事を紹介する。

【この記事の写真をもっと見る】

*  *  *

「日本環境設計」(6月1日から社名をJEPLANに変更、川崎市)は服から服をつくるサーキュラーエコノミー(循環型経済)に取り組んでいる。従来型の経済が「原料→製造→消費→廃棄」という流れなのに対し、循環型経済は「原料→製造→消費→リサイクル(再原料化)→製造……」という廃棄物を出さないサイクルを指す。欧米を中心に様々な製品サイクルで急速に導入が進んでいる。

 創業者の岩元美智彦会長は繊維商社の社員だった頃、ペットボトルのリサイクル繊維でつくった作業用ユニホームの営業を担当していて、ふと思った。

「販売したユニホームが最終的に廃棄処分されれば、リサイクルが成立しているとは言い難い」

 そこで考案したのが、ポリエステル繊維を分子レベルで分解し、染色剤などを除去したうえで再生ポリエステルに変える独自技術だ。品質は石油由来原料と同レベルで、様々な用途に使える。廃棄物を出さず、石油の使用量削減にも寄与できる。

 同社は2017年、この技術を北九州市の自社工場で導入。店頭回収した古着を再生ポリエステル原料にリサイクルし、その原料を糸・生地・最終製品にリサイクルして消費者に販売。その服が使用されなくなれば再び回収する、という「服から服へ」の水平リサイクルを実現させた。

「サーキュラーエコノミーを牽引(けんいん)する英国のエレン・マッカーサー財団から、『世界でも類例のない取り組み。しかも、出自がアパレルではない会社が実践しているのは驚きだ』とお墨付きをいただきました」

■ポリエステルが約6割

 こうアピールするのは中村崇之プロダクトマーケティング課長だ。目指すのは「新しい生活様式をつくること」だと言う。

著者プロフィールを見る
渡辺豪

渡辺豪

ニュース週刊誌『AERA』記者。毎日新聞、沖縄タイムス記者を経てフリー。著書に『「アメとムチ」の構図~普天間移設の内幕~』(第14回平和・協同ジャーナリスト基金奨励賞)、『波よ鎮まれ~尖閣への視座~』(第13回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞)など。毎日新聞で「沖縄論壇時評」を連載中(2017年~)。沖縄論考サイトOKIRON/オキロンのコア・エディター。沖縄以外のことも幅広く取材・執筆します。

渡辺豪の記事一覧はこちら
次のページ