撮影:市ノ川倫子
撮影:市ノ川倫子
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 写真家・市ノ川倫子さんの作品展「JARDIN」が6月1日から東京・外苑前のNine Galleryで開催される。市ノ川さんに聞いた。

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 市ノ川さんはこれまで複数の写真を一つに重ねる多重露出(厳密に言えば画像合成)の手法による作品を発表してきた。

 今回の「JARDIN」では、多重露出の写真をベースに、絵を描いたり、ほかの写真を切り貼りした「ブリコラージュ」の手法によって作品をつくり上げている。

 ブリコラージュとは「寄せ集めてつくる」という意味で、「手元にある多重露出のプリントや、作品のモチーフになったドライフラワーとか、身のまわりにあったものを素材として重ね合わせてつくったものなんです」。

 勢いよく湧き上がる水のような、透明感のある作品に描かれているのは赤や黄、白の金魚、いや花びらだろうか。大きな葉を重ねたような作品には夕日を浴びたようなオレンジ色の花が写っている。命を終えた花が炎に包まれているように感じられる作品もある。

撮影:市ノ川倫子
撮影:市ノ川倫子

■漫画家になりたかった

 多重露出による作品づくりはまったくの独学で、8年前にオリンパスのカメラを購入した際、多重露出の機能を知り、試しに撮影してみたことから始まった。

「それこそ、説明書を隅から隅まで読んで、すべての機能を頭にたたき込みました。多重露出については、(写真を2枚を重ねるって、どういうことなんだろう?)と思いながら、いろいろ試して、学んでいった」

 市ノ川さんは昔、絵を描いたり、マンガが好きな子どもだった。

「漫画家になりたい、という気持ちがあったんです。要するに、いろいろお話をつくったり、現実にはない世界を考えたりするのが好きだった」。

 一方、写真は、と言うと、「現実をそのまま写すもの、というイメージがあって、それほど興味が湧かなかった」。

 しかし、「一枚の写真ではなくて、多重露出の機能を使ってみると、写真を重ね合わせることで、子どものころに夢見ていたようなおとぎ話だったり、遠い昔の記憶の風景を表現できるんじゃないか、と思った。それで、このシリーズを発表してきたんです」。

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