まちづくりのプロに
東京都出身で北海道奥尻高校に「島留学」していた佐藤絢斗さん(19)がこの入試を知ったのは高校3年の春。それまで、島の課題解決のため、他校の生徒と「観光」と「移住」を組み合わせた提案で入賞するなど地方創生にかかわる活動をしてきた佐藤さんに、担任教諭が受験を勧めた。佐藤さんはこう話す。
「将来は、すべての過疎地域に応用できる経済循環システムを生み出したい」
東京都出身の田川大翔さん(19)は高校2年の冬に親から「MARCHの中にユニークな入試制度がある」と聞き、興味を持った。志望を決意するのとほぼ同時に、地元のビジネスプランコンテストに応募し準グランプリを受賞。入試では「ビジネスの観点からまちづくりを実践したい」とアピール。就職先は不動産業界を希望している。
静岡県出身の山下友梨子さん(20)は、まちづくりに取り組む高校の課外活動で中心的役割を担ってきた。現代福祉学部の総合型選抜を知ったのは高校3年の夏。課外活動の担当教諭に勧められ、水野教授の出前授業を聴講したのが転機になった。山下さんは大学院に進学し、まちづくりの理論研究とともに、フィールドでの実践経験をさらに積みたいと考えている。
経歴は三者三様だが、「まちづくりのプロフェッショナル」になるビジョンは共通する。水野教授は言う。
「現代福祉学部の学生は他学部と比べておとなしい印象がありますが、総合型選抜で入った学生は目的意識が明確でハキハキと自己主張します」
えりすぐりの研究人材を獲得する総合型選抜を実施しているのは大阪大学理学部だ。
自主研究の発表が必須
化学科と生物科学科が採用する「研究奨励型」と、数学科と物理学科が採用する「挑戦型」がある。いずれも学力重視が前提で、1次・2次選考後、大学入学共通テストの成績を加味して最終的に合否を判定する。
研究奨励型は、高校までに自主的に取り組んだ研究活動の発表が必須。生物科学科の昆隆英教授は言う。