「自主研究は自ら深く考えて行うことが大切です。数カ月にわたる詳細な研究や限られた環境の中で工夫された研究に感心させられることも多々あります」
一方で挑戦型は、募集要項で「自分自身の頭脳でどこまでも粘り強く考察して真理を探究・発信したい学生を求む」と呼び掛けているが、「入試対策によるパターン学習を避けたいため」(昆教授)選考の具体的な内容は明示していない。ただ、物理学科は小論文で「筆記試験で判定の難しい課題解決にいたる科学的思考のプロセス」を問い、口頭試問では、物理学を中心とする自然科学についての知識や思考力だけでなく、自分の将来像などについても試問する。
研究奨励型は将来研究で身を立てたいと考えているタイプ、挑戦型は意欲や可能性を感じさせる秀才タイプの学生像が浮かぶ。中でも難関は数学科。募集定員は5人だが、過去3年で合格者は22年度の1人だけという。
このように、総合型選抜の評価基準は大学や学部ごとに千差万別。対策も一筋縄ではいかない。そんな総合型選抜を目指す受験生に必須といえるのが、オープンキャンパスの活用だ。
河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員は「高校1、2年の段階で複数の大学のオープンキャンパスを巡り、早めに第1志望を見つけるのが重要」と助言する。その上で、高校入学以降のトピックをノートに記録しておくことを勧める。
「学校や地域のイベントに参加した経験やそのとき考えたことを書き留めておけば、総合型選抜にエントリーする際、大いに参考になるはずです」
(編集部・渡辺豪)
※AERA 2022年7月11日号より抜粋