大学入試の総合型選抜(旧AO入試)の存在感が増している。文部科学省によると、2021年度の総合型選抜での入学者数は20年前よりも、私立は4.7倍、国公立は11.5倍に増加している。学校推薦型選抜を合わせれば、私立は58.2%、国公立は20.8%を占める。各大学はどんな入試を実施しているのだろうか。AERA 2022年7月11日号の記事を紹介する。
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立命館大学文学部は20年度に「人文学プロポーズ方式」と「マップ・リーディング方式」の二つの総合型選抜を新設した。
「人文学プロポーズ方式」は、受験生が大学で探究したいテーマを自由に設定し、内容やスケジュールを提出。2次選考のプレゼンテーションと面接を通じ、大学へプロポーズ(提案)する。導入の経緯について文学部副学部長の遠藤英樹教授はこう話す。
「大学院進学や就活でも、問われるのは興味がある物事を探究し、表現する力です。今後の人生で着実に役立つスキルや能力だと考え導入しました」
「マップ・リーディング方式」は地図の読解力で勝負。90分間で地図や地理的資料から地域の様子や変化を読み解き、その場で課題レポートを作成する。
「地域研究学域は地理学専攻と地域観光学専攻に分かれ、いずれも地図は研究上の重要な表現手段として使われます。このため、地図を見るのが大好きで探究心のある学生に来てもらいたいと考えています」(遠藤教授)
行動力が肝になるのは、法政大学現代福祉学部が20年度から導入している「まちづくりチャレンジ入試」だ。高校時代に地域のまちづくりに主体的にかかわった経験や実績をアピールできる人が対象だ。
「ちょっと規格外ぐらいのほうが面白い。社会を変えようという意欲のある人に来てほしい」
と呼び掛けるのは同学部の水野雅男教授。情熱や本気度はどう見極めているのか。
「志願者は自治体の首長にインタビューしたり、住民アンケートをまとめたり、実際に行動した実績をアピールしています」