北海道と西日本のほとんどは「知らない」
まず、実際は関東以外でもタンメンは食べられていた。山梨県と長野県はネットで検索しただけで、県内の広い地域でタンメンをメニューに載せている店が確認できた。さらに仙台市、新潟市の観光担当者は「タンメンを日常的に食べている」と回答した。
では、なぜ“半分は間違い”なのか。東日本ではタンメンが食べられていることが確認できたものの、北海道と西日本は“全滅”に近いからだ。
札幌市の観光関係者は「タンメンという言葉さえ知りません」と困惑。別の関係者は「関東でタンメンが人気なのは知っている」と答えた上で、「以前から札幌市にタンメンを出す店がないのを不思議に思っていました」と教えてくれた。旭川ラーメンで有名な旭川市も札幌市と同じように「タンメンを出す店はないと思います」(飲食店関係者)という回答だった
そして西日本。京都市、神戸市、広島市で様々な関係者に取材を依頼しても「タンメンを食べられる店については心当たりがない」という回答ばかりで、四国で最も人口の多い松山市も同じだった。
福岡市の観光関係者からは「ちゃんぽんとは違うのですか?」と逆に質問された。記者が「タンメンはラーメンの麺を使い、ちゃんぽんはちゃんぽん麺を使うはず」と説明すると、「タンメンという言葉は聞いたことはありますが、ラーメンの麺の上に野菜炒めが載っている麺料理と言われても、イメージは全く浮かびません」と答えた。九州を飛び越えて那覇市にも取材したが、やはり「タンメンという名前も聞いたことがない」(観光関係者)との回答だった。
ただし、全国の中でも東海地方だけは独自の文化が醸成されているようだ。
愛知県と岐阜県では「岐阜タンメン」というチェーン店でタンメンが食べられている。2009年に屋台から創業したが最初は軌道に乗らず、岐阜県に出店すると大ヒットしたため、「岐阜タンメン」という名前にしたとのこと。名古屋市の観光関係者も「東海地方でタンメンは岐阜タンメンとイコールで、むしろ関東のタンメンを知らない」と話した。岐阜タンメンを運営する「岐阜タンメンBBC」によると、「最初に出店した際は、東海地方にタンメンの文化は全く存在しませんでした。ところが近年はさまざまな店がタンメンを出しており、東海地方でタンメンが盛り上がりをみせています」とのことだった。