
今年、「タンメン」が誕生して70年になるという。タンメンといえば、お笑い芸人・河本準一の「お前に食わせるタンメンはねぇ」というギャグでも知られるが、鶏がらスープを塩で味つけし、その上に豚肉と野菜の炒め物を載せた人気の麺料理。シンプルながら深い味わいで、日本全国の至るところで日常的に食べられている……と思われがちだが、実は“食べた事がない人”も多いようなのだ。
実際、X(旧Twitter)を閲覧してみると、「タンメンはローカルフードだということを関東方面の方々にはしっかり認識していただきたい」「関東に来るまでタンメンって見たこともなかった」「タンメンが関東のローカル料理だと知ったときはショックだった」などの投稿が次々と表示される。
はたして、タンメンが“関東のローカル料理”という説は正しいのだろうか。
それを検証する一つとして、人気チェーン店「日高屋」と「餃子の王将」のメニューを比較してみると、興味深いことがわかった。グルメ雑誌の記者が解説する。
「日高屋のメニューには『野菜たっぷりタンメン』がありますが、王将の公式サイトを見ると、『北海道・東北・関東・甲信越』のメニューでもタンメンは記載されていませんでした。日高屋の本社はさいたま市にあり、440店舗を超えるチェーン展開は首都圏が中心です。一方、餃子の王将の本社は京都市。首都圏でもファンは多いですが、やはり京阪神地区の店舗が目立ちます。タンメンの扱いが地域によって異なる傾向はありそうです」
より詳しい実態を確かめるために、AERA DIGITALでは独自取材を行った。政令指定都市やご当地ラーメンの有名な地域を対象とし、自治体の観光課や地元の観光業界、飲食業界の関係者に「(1)タンメンという麺料理を知っているか?」「(2)その地域で日常的にタンメンを食べる機会があるか?」と質問し回答を得た。
結論から言えば、「タンメンは関東ローカル」という説は、“半分は本当で半分は間違い”という取材結果だった。