旧満州の料理人が最初に提供

 そして、西日本で唯一、「タンメンを食べられる店が普通にある」と回答したのが大阪市。「確かに大阪人にとってメジャーな麺類ではありません。しかし老舗の街中華で優しい味のタンメンが食べられるのも事実です」とのことで、一定のニーズがあるようだ。

 タンメンの発祥には諸説があるが、その中の一つに「横浜一品香」が初めて提供したというものがある。

 一品香は1955年、カウンター9席だけの店としてオープン。旧満州から引き上げてきた料理人が「湯麺=たんめん」を出すと行列ができるほどの人気となった。そのため同店は「横濱たんめんの元祖」とされ、1955年に開業したことから、今年が「タンメン70周年」と言われているわけだ。

 一品香は冷凍の「たんめん」も通販しているが「全国からご注文を頂いておりますが、やはり関東地区が多い」(一品香社長)と言う。

「私たちは『毎日でも食べられるたんめん』を目指しており、例えば、すっきりとしたうま味を出すために甘味の出るキャベツは使わず、白菜を豊富に入れています。各地のご当地タンメンが話題を呼んでいるのは把握しており、いつかはタンメンが全国区になるのではと楽しみにしております。100周年を目指し、おいしくて健康的なタンメンの新メニューも開発しています。タンメン文化が拡大するため、私たちも努力を重ねていく所存です」(同)

 まだ食べたことがない人も、ぜひタンメンの“うま味”を体感してほしい。

(井荻稔)

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