「男性の働き方が、女性の出生意欲に与える影響は大きいと言えます。特に、『もう一人産むか』を考えた時に、家事育児の負担と仕事との両立に直面して悩む。そこに男性がどう関わるかが重要です」
確かにそうなんだけど──。東京都の会社員女性(37)は、うなずきつつも、
「イクメンが推奨されているけれど、そもそも無理な人もいますよね」
とこぼす。10歳を筆頭に3人の子育て中だが、夫(41)は、
「赤ちゃんはママが育てるものでしょ」
というスタンス。女性の育休中は「私よりも昼寝をしていることがあった」。夫は料理が趣味なので週末の食事づくりはしてくれているが、午前中にリモートワークができる日であっても、合間に家事をすることはなく、午後はたいてい出勤し、帰宅は深夜だという。
岩手大学の海妻径子教授(ジェンダー論)は言う。
「共働き家庭が増える一方で、『家事・育児は女性がするもの』という男性側の性役割意識の変容が予想以上に進んでいません。早く帰宅できても、家事育児をしない男性は一定数いる。男性の働き方が変われば、出生意欲がわき、少子化が改善されるかというと、そんなに簡単なことではありません」
(編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年4月24日号より抜粋