AERA 2023年4月24日号より
AERA 2023年4月24日号より

「男性の働き方が、女性の出生意欲に与える影響は大きいと言えます。特に、『もう一人産むか』を考えた時に、家事育児の負担と仕事との両立に直面して悩む。そこに男性がどう関わるかが重要です」

 確かにそうなんだけど──。東京都の会社員女性(37)は、うなずきつつも、

「イクメンが推奨されているけれど、そもそも無理な人もいますよね」

 とこぼす。10歳を筆頭に3人の子育て中だが、夫(41)は、

「赤ちゃんはママが育てるものでしょ」

 というスタンス。女性の育休中は「私よりも昼寝をしていることがあった」。夫は料理が趣味なので週末の食事づくりはしてくれているが、午前中にリモートワークができる日であっても、合間に家事をすることはなく、午後はたいてい出勤し、帰宅は深夜だという。

 岩手大学の海妻径子教授(ジェンダー論)は言う。

「共働き家庭が増える一方で、『家事・育児は女性がするもの』という男性側の性役割意識の変容が予想以上に進んでいません。早く帰宅できても、家事育児をしない男性は一定数いる。男性の働き方が変われば、出生意欲がわき、少子化が改善されるかというと、そんなに簡単なことではありません」

(編集部・古田真梨子)

AERA 2023年4月24日号より抜粋

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古田真梨子

古田真梨子

AERA記者。朝日新聞社入社後、福島→横浜→東京社会部→週刊朝日編集部を経て現職。 途中、休職して南インド・ベンガル―ルに渡り、家族とともに3年半を過ごしました。 京都出身。中高保健体育教員免許。2児の子育て中。

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