小学校の一大行事、運動会。学校では、いったいどのような準備が行われ、先生たちはどんな指導をしているのでしょうか。大阪の公立小学校の現役教師・松下隼司先生が実践している、“保護者が知らない運動会での指導”について教えてもらいました。

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意外と知らない運動会指導

 大阪の公立小学校教諭の松下隼司と申します。教員23年目、中学1年の息子と保育園年長の娘の2児の父親です。

 小学校の一大行事である、運動会。練習時間に、子どもたちがどんなことをしているのかご存知でしょうか? 親御さんが意外と知らない運動会での指導をお伝えします。

リレーの最後に手を抜く子ども

 高学年の団体競技に「紅白対抗のリレー」があります。

 まずリレーの練習をするまでに、子どもたちのチーム分けを担任がします。この際、できるだけチーム同士で差が出ないようにします。そのため、事前に50m走のタイムを計測して、それを元にチーム編成をするのです。そして、チーム内で走る順番を子どもたちに決めてもらいます。

 次に、実際に子どもたちに走ってもらうのですが、子どもたちに指導するのはバトンの受け渡しだけでありません。「最後まで全力で走る」ことを子どもたちに指導しているのです。というのも、最後のアンカーを走る子どもの中に、本気で走らない子どもが出るからです。

 途中で走る子どもが転んでしまって、アンカーの子どもがどうがんばって走っても追い抜けない、最下位が決定の場合があります。全員ではありませんが、全力で走っても意味がないと思ってあきらめてしまう子どもがいます。そんなときでも、最後まで全力で走るように、担任として指導します。これは、練習ではそういうトラブルが起きなくても、子どもたちに話すようにしています。運動会当日にもしかしたら起こるかもしれないからです。

 また、アンカーで本気で走らないのは最下位が確定している子どもだけでありません。1位が確定しているアンカーの子どもも本気で走らないこともあります。

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松下隼司
松下隼司

1978年生まれ。奈良教育大学卒業。大阪の公立小学校に勤める現役教師。2児の父親。文部科学大臣優秀教職員表彰を受賞。令和6年版教科書編集委員を務める。著書に絵本『せんせいって』(みらいパブリッシング)、『ぼく、わたしのトリセツ』(アメージング出版)、教育書『むずかしい学級の空気をかえる 楽級経営』(東洋館出版社)、『教師のしくじり大全 これまでの失敗とその改善策』(フォーラムA企画)などがある。教師向けの情報サイト「みんなの教育技術」で連載を持つほか、Voicy「しくじり先生の『今日の失敗』」でパーソナリティーを務める。

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