
【鴻上さんの答え】
疲れた顔してる人さん。大変ですね。しかし、この名前は困りました。呼びかけるたびに、ますます、「疲れた顔」になるような気がします。略して、「顔人」さんにしますね。
顔人さん。顔人さんの相談は、少しも「ちっぽけな相談」ではないと思いますよ。
相談の一番の目的は、「悪循環とも呼べるような状況を打破する糸口」で、それが無理なら、「気持ちを穏やかに保つ方法」ですよね。
顔人さん。じつは、悪循環を打破する糸口は、とてもはっきりしていると僕には思えます。
「祖父母は介護が必要なレベルですが、施設に入るのを嫌が」っている結果、「買い物や病院への送り迎えなど(中略)おおくて週に4回、祖父母宅を行き来する」ことになっているーーこれが、顔人さんの問題の根本だと僕には感じます。
顔人さん。今、顔人さんは一生懸命我慢して、なんとか祖父母の面倒をみていますよね。
それでも、「大好きだった祖父母にとても嫌気がさして」いる状況になっているんですよね。だから、「嫌気やイライラからか、何をやってもうまくいきません」と感じているんでしょう。
この感覚や苦痛は、これから増えることはあっても、減ることはないと思います。
なぜなら、祖父母はますます年老いて、介護のレベルが上がるからです。
介護施設に行きたくないという祖父母の気持ちを尊重してずっと世話を続け、最終的に残ったのは、祖父母への憎しみだけという可能性が高いのです。
それは、顔人さんにとっても、祖父母にとっても、そして両親にとっても避けたい状態ではないでしょうか。