開幕からほぼ全試合に出場している赤羽由紘は「育成の星」となれるか(写真提供・日刊スポーツ)
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 5月9日から本拠地の神宮球場で行われた巨人との3連戦で、4カードぶりの勝ち越しを決めた東京ヤクルトスワローズ。その2戦目のラインナップには一番センター・岩田幸宏(27歳)、二番セカンド・赤羽由紘(あかはね・よしひろ、24歳)と、先頭から育成出身2選手の名前が並んでいた。

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 プロ野球ではしばしば「育成の星」と呼ばれる選手が誕生する。現役でいえば現在はメジャーリーグで活躍する千賀滉大(メッツ)を筆頭に、甲斐拓也(巨人)、周東佑京(ソフトバンク)、和田康士朗(ロッテ)、松山晋也(中日)など、育成契約でのプロ入りからスターダムを駆け上がった選手を言う。

 2005年の育成選手制度導入に伴い、同年から始まった育成選手ドラフトでヤクルトに指名された選手は、昨年まで計27人。このうち12人が支配下契約を勝ち取り、今年の5月1日に支配下登録されたばかりの下川隼佑(2024年育成3位)を除く投手6人、野手5人が一軍の舞台に上がっている。だが、その中で「育成の星」と呼ばれた選手はまだいない。

 古田敦也兼任監督時代の2006年育成ドラフトで初めてヤクルトから指名されたのが、四国アイランドリーグ(現四国アイランドリーグplus)香川オリーブガイナーズの投手、伊藤秀範。1年目の2007年開幕前に支配下登録されるも、2年間で一軍登板は5試合にとどまった。

 育成出身で初めて一軍で白星を手にした投手が、ブラジルのヤクルト野球アカデミー出身で、白鷗大から入団したラファエル・フェルナンデス(2008年育成1位)。3年目の2011年6月に支配下登録され、翌2012年7月1日の阪神戦(神宮)では6回に登板してこの回を無失点に抑えると、その裏に味方が逆転して勝利投手となる。それでも実働2年で一軍登板は10試合のみ、これが唯一の白星で、2013年限りで戦力外を通告された。

 育成入団から支配下となった6人の投手の中で一軍登板、勝利の数が最も多いのが、2011年育成ドラフト1位の徳山武陽(立命館大)である。2013年5月13日に支配下登録されると、2日後の西武戦(神宮)で先発として一軍デビュー。2014年9月3日の中日戦(神宮)に先発して6回2失点で初勝利を挙げ、2015年は39試合の救援登板で2勝1敗3ホールド、防御率3.58と、リリーフとしてセ・リーグ優勝に貢献する。

 ところが翌2016年、徳山は国指定の難病である黄色靱帯骨化症を発症していることが判明し、2017年限りでユニフォームを脱ぐことになる。実働4年で一軍登板54試合、3勝4敗3ホールド、防御率4.55の通算成績を残していただけに、28歳での引退が惜しまれた。

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