
首位を走る阪神の和製クリーンアップが頼もしい。3番・森下翔太は打率.313、2本塁打、12打点。4番・佐藤輝明は打率.250だが、いずれもリーグトップの9本塁打、23打点をマークしている。そして、5番に座るのが昨年まで4番を打っていた大山悠輔だ。打率.245、1本塁打、11打点という数字だけを見ると物足りなく感じるが、得点圏打率.409と勝負強い。(記録は4月29日終了時)
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「今年の阪神打線のキーマンは大山です。森下、佐藤は5番に大山がいるから勝負してもらえるし、のびのび打てる。もし、昨オフ、大山が巨人にFA移籍していたら大きな戦力ダウンでした。巨人に入団して岡本和真の後を打つ5番で起用されていたら、両チームのパワーバランスがまったく変わっていた可能性がありました」(スポーツ紙デスク)
岡本や村上宗隆(ヤクルト)のように本塁打、打点など主要タイトルを獲得した実績があるわけではない。だが、他球団の編成担当は大山について、「本拠地が広い甲子園でなければ、30本塁打をクリアしているでしょう。チーム打撃を厭わないし、ボール球に手を出さない。打ち取りにくい打者ですよね。もっと評価されていい選手だと思います」と話す。
2020年から3年連続20本塁打をマーク。23年は打率.288、19本塁打、78打点だったが、最高出塁率(.403)のタイトルを獲得。99四球、8犠飛がいずれもリーグ最多という数字が示す通り、フォア・ザ・チームの精神で貢献度が非常に高く、リーグ優勝、38年ぶりの日本一は大山の存在なしにはかなわなかった。
昨オフ、FA権を行使した大山の獲得に、宿敵の巨人が乗り出したことが大きな話題となった。巨人は以前から大山の実力を高く評価していた。阿部慎之助監督が就任した昨年は4年ぶりのリーグ優勝を飾ったが、462点はリーグ4位。チームの顔として牽引してきた坂本勇人に衰えが見え始め、岡本の後を打つ5番打者を最後まで固定できなかった。大山は補強ポイントに合致するため、阿部監督は獲得を熱望していた。