■みそ汁ファーストで
もう一つの重要テーマ「血糖値の急上昇を抑えること」に関しては、こう説明する。
「血糖値の上昇と摂取する食べ物の順番、量には密接な関係があります。先に食物繊維が豊富な野菜を食べ、最後に糖質を多く含んだものを食べれば、血糖値の急上昇を防げます」
こうした人体のメカニズムを踏まえて、ぜひ心がけたいのが「みそ汁ファースト」だ。食事の際は、ラクやせみそ汁から口にすることを習慣化しよう。
「一般的には、サラダなどを先に食べる『ベジファースト』が推奨されていますが、生野菜はカサが張るので、一度にたくさん食べるのは大変。その点、みそ汁の具材に用いた野菜は煮込まれてカサが減り、食べやすくなっています。みそ汁のみその原料である大豆に含まれるトリプトファンから分泌されるセロトニンは満足感を増長させます。みそ汁ファーストにすれば、少しなら甘いものを食べても大丈夫。フレンチのコースでデザートが最後に出てくるのも、実は理にかなっていることです」
勘違いされがちだが、「みそ汁→菜(漬物など)→ごはん」の順番でそれぞれ完食せよという意味ではない。最初にみそ汁をある程度食べたら、後は自由な順番で食べていい。
「みそ汁の具材は大きく切ってください。意図的に咀嚼の回数を増やすためです。現代人の咀嚼回数は鎌倉時代を生きた人々の3分の1にすぎないと言われています。よく噛むと自律神経が安定しますし、エネルギー代謝の向上にもつながります。1口30回を目標に」
よく噛んで食べましょうと昔からいわれているが、本当に大事なことだと小林さんは強調した。咀嚼回数が極端に少ないと、体重が減りにくいどころかオーラルフレイル(歯や口の機能が衰える)からフレイル(全身的機能低下)へ進行する危険性もあるという。
「噛む回数を増やせない人は、ゆっくり食事をとるようにしてください。今までより10分程度長くするだけでも、健康と減量に効果があります」