■糖質制限に潜むリスク
一汁一菜で、ごはん──つまり糖質を抜かないのも大きな特徴。一世を風靡した糖質制限ダイエットに対して、小林さんは警鐘を鳴らす。
「糖質制限ダイエットは即効性を期待できる半面、やり方を間違えると『耐糖能低下』に陥るリスクと背中合わせです。耐糖能とは血糖値が高くなったとき、正常値まで下げる能力のこと。下げられなくなった状態が耐糖能低下です」
糖質制限をしすぎて、空腹時や食後の血糖値が異常に高くなる「糖代謝異常」になることもある。その結果、体重や体脂肪が減りにくい体質になりがちだ。そして糖質の摂取を再開すると、あっさりリバウンドすることも多い。せっかくごはんやパン、麺をがまんしたのに。
「本来、糖質は人体に必要不可欠な栄養素。過度に制限すると深刻なエネルギー不足を招き、意識を失って救急搬送された例もあります。また、筋肉を減少させて代謝力が低下し、中性脂肪の増加につながるという悪循環にも陥りやすいのです」
ベスト体重をかなりオーバーして焦っている人は、ごはんを控えめにするだけでいい。完全な糖質断ちは避けよう。
■長生きみそ玉の効能
ラクやせみそ汁には時間のない人でも手軽に調理できる工夫が凝らされている。ベースとなるのは小林さん考案の「長生きみそ玉」。冷凍保存も可能だから、週末などにまとめて仕込もう。
材料は白みそ80グラム、赤みそ80グラム、リンゴ酢大さじ1、すりおろした玉ねぎ1個分(150グラム)の四つ。これらを混ぜ合わせ、製氷皿などを使って小分けで冷凍する。この分量で試作すると、ちょうど製氷皿1個分だった。凍らせた長生きみそ玉はフォークなどで刺せば簡単に取り出せる。コンソメキューブのような感覚で野菜や肉、魚を煮たところにポン。リンゴ酢と玉ねぎのすりおろしが入っているので湯にサッと溶ける。製氷皿がなければストックバッグなどに平らに詰めて冷凍し、割って使う手もある。
これら四つの食材には、それぞれ意味がある。
「白みそにはストレスを緩和する働きのあるGABAという成分が含まれています。ストレスは自律神経のバランスを崩し、腸内環境を悪化させます。すると、腸の活動が鈍って血の巡りが悪くなり、エネルギー代謝の低下をもたらします。ストレスを抱えていると、痩せにくい体質になってしまうわけです」
一方、冒頭でも触れたように糖質の摂取で血糖値が上昇すると分泌されるインスリンには、脂肪を体内に蓄積させる(糖の中性脂肪化)作用がある。それを防いでくれるのが、赤みそに含まれるメラノイジンだ。