
開幕直前に、替えの利かない選手の戦線離脱はあまりにも痛い。リーグ連覇を狙う巨人のベンチが凍り付いたのは、3月22日のロッテとのオープン戦だった。
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「6番・中堅手」で先発出場した丸佳浩が6回にタイムリーを放った後、次打者の二塁打で一塁からホームを目指したが途中で失速。三塁にたどりついたところで表情をゆがめた。直後に代走が送られて途中交代。23日に都内の病院で検査を受け、「右大腿二頭筋損傷」と診断された。
「右太もも裏の肉離れですね。リハビリを経て実戦復帰まで2カ月かかる可能性があります。1日も早く復帰したい気持ちがあると思いますが、万全でない状態で戻ると再発の危険性が高まる。全力疾走に不安がなくなるまではファームで調整したほうが良いと思います」(在京球団の元トレーナー)
昨年のリーグ優勝に、不動の4番・岡本和真と共に丸は不可欠な存在だった。打線は開幕から1番打者をなかなか固定できなかったが、4月下旬から丸が1番に定着。選球眼の良さに定評があり、チャンスメークで貢献した。シーズン終盤に成績を落としたものの、138試合出場で打率.278、14本塁打、45打点、出塁率.360は十分に合格点をつけられる。
「丸が1番で稼働しなければリーグ優勝は成し遂げられなかったでしょう。今の巨人打線は核になる選手が少ない。坂本勇人に衰えがみられる中で、丸はコンスタントに活躍している。出塁するだけでなく、甘く入ったらスタンドに運ばれるので威圧感がありました。1番に入ることで相手バッテリーは神経を使いましたし、この穴は簡単に埋まるものではありません」(スポーツ紙デスク)
戦線離脱の影響は攻撃だけではない。中堅をだれが守るか、再考を余儀なくされることになった。現状の外野手の布陣からオコエ瑠偉、若林楽人を起用するか、ヘルナンデスを左翼から中堅に回し、岡本を一塁から左翼に回す選択肢などが考えられる。実際に丸が負傷交代した翌23日の試合では、岡本が試合途中から左翼に回った。