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世界トップクラスの大学のキャンパスあり
肝心の教育はどうだろうか。
マレーシアは、英国からの独立国家が構成する緩やかな国家共同体「英連邦」に属する。そのため、大学教育は伝統的に英国式、もしくは英連邦の豪州式を採用してきた。
「国立のマラヤ大学をはじめ、モナッシュ大学(豪州)、ノッティンガム大学(英国)など、世界トップクラスの大学がマレーシアにキャンパスを設けています」(同)
イギリスの大学評価機関QSが公表した「世界大学ランキング2025」によれば、モナッシュ大学は37位、マラヤ大学は60位、ノッティンガム大学は108位。ちなみに東京大学は32位、東北大学は107位である。モナッシュ大学は東大並みだ。
つまり、マレーシアの大学は国際的な評価が高いうえ、留学費用が安く、「コスパ」がいい。
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大学受験失敗でマレーシアへ
斉藤さんは、大学留学を望んでいても経済事情からあきらめる高校生をたくさん見てきた。そんな若者や保護者にとってマレーシアは「希望の光」(同)だという。
「みなさん『マレーシア』を知ると、『えっ、こんな留学先があったんだ』と、驚かれ、喜びます」(同)
マレーシアへの大学留学について、同センターに問い合わせが最も増えるのは国内の大学受験が終わった3月中旬から4月。その7割以上が、大学受験がうまくいかず、浪人など複数の選択肢を考えるなかで留学を選ぶ人たちだという。
欧米の大学と同様、マレーシアの大学には入試がない。高校の成績(GPA)と英語力を測る試験のスコアなどで入学の可否が判定される。
最大の関門は「英語」だ。マレーシアの大学の場合、「IELTS(アイエルツ)」という英語試験のスコアが求められることが多い。
「大学によってはIELTSのスコアが4.0(英検2級レベル)で入学できるところもありますが、実際には最低でも5.5(英検準1級レベル)はないと、英語の授業についていけません」(同)
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語学学校で英語を勉強
大学留学希望者の多くは、入学前にマレーシアへ渡り、語学学校で英語を勉強する。
「英語ができる人もそれをブラッシュアップするとともに、リサーチの仕方や、リポートの書き方、グループディスカッションの方法など、英語で勉強するスキルを身に付けます」(同)
そのうえで大学の「ファウンデーション(基礎・準備)コース」で1年間学んでから学部入学するのが一般的だという。