国内FA権を行使して、このオフにはソフトバンクから甲斐拓也が巨人へ、石川柊太がロッテへ移籍。広島から九里亜蓮がオリックス、楽天から茂木栄五郎がヤクルト、中日から福谷浩司が日本ハムへそれぞれ移籍した。また、海外FA権を行使して、巨人の菅野智之がオリオールズに入団することが決まった。
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FAで注目されるのは権利を行使した選手の去就だけではない。国内他球団に移籍した際は選手の年俸ランクに応じて「人的補償」が発生する。FA規約では、移籍する選手の年俸がチームの上位1~3位はAランク、4~10位はBランクとなり、このA、Bランクの選手がFAで移籍をした場合、移籍先の球団は、FA選手の旧所属球団に対して、選手(人的補償)または金銭補償をする必要がある。
今回のFAでは、甲斐、九里、茂木の移籍で補償が発生。甲斐の人的補償で巨人の伊藤優輔がソフトバンクに、茂木の人的補償でヤクルトの小森航太郎が楽天に移籍することが決まった。広島は九里の人的補償を求めず、昨季の九里の年俸1億4000万円の60%に相当する8400万円を金銭補償としてオリックスから受け取った。
選手会は「人的補償」の撤廃を要求
この「人的補償」は、選手を「モノ扱い」する制度だなどと批判されてきた。人的補償の対象になった選手は、移籍を拒否すると資格停止となり、引退せざるを得ない。プロ野球選手会はFAによる移籍を活発化させたいという理由で、「移籍を妨げる要因になりえる」と人的補償の撤廃を求めている。
セ・リーグ球団の元球団編成担当は、「人的補償を撤廃して、金銭補償だけにするか、翌年のドラフトの指名権を譲渡するという形がベストだと思います。ドラフトで2位の指名権が譲渡される形になれば、戦力均衡の観点からも納得できる。同時に伸び悩んでいる若手の救済措置として現役ドラフトの人数を増やせば、人的補償の必要性もなくなる」と提案する。
人的補償で移籍した選手は「反対じゃない」
現役時代にFAの人的補償で移籍した経験がある選手は、「僕は人的補償の移籍に反対じゃないですね」と話す。
「元の球団から絶対に必要な存在ではないという現実を突きつけられる一方で、他球団には補強ポイントとして獲得してもらうことに気合が入りました」