そのためには、感情にまかせて怒るのではなく、「どんな言葉で、どんな理屈で、どんなふうに語れば、相手に、『自分は差別主義者だ』と自覚させることができるんだろう」と、勉強し、上達する必要があるのです。

 また、娘さんが、「大事にしてほしくない、恥ずかしい」と言って学校に伝えないのは、いろんな事情があると思います。

 さおりさんのような強い怒り方はできないと思っているかもしれません。思春期特有の「恥ずかしさ」もあるでしょう。それから、いじめの事例ですが、不用意な教師が「~さんへのいじめをやめましょう」なんてノンキにホームルームで言って、「教師にチクりやがって」といじめが悪化することはよくあることです。その事態に怯えているということもあると思います。ひょっとすると、これが一番大きい理由かもしれません。

 さおりさん。まずは、担任が信用できる人なのかどうかを見極める必要があると思います。事態を理解していなくて「分かりました!明日、クラスのみんなに差別はよくないと伝えます!」とか「そんなたいしたことじゃないですよ。考えすぎです」なんて言う人なら、絶対に相談してはいけないでしょう。

 ですから、まずは、娘さんには内緒にして、担任の先生と話してみるのがいいと思います。ただし、「××から差別を受けている」とか、「今すぐなんとかしてほしい」なんてことは言わないで、担任の人柄や態度を確認することです。

 もし、信頼できそうだと思えば、踏み込んで話すし、ダメなようなら、校長先生と話してみる、という方法がいいと思います。

 いじめ問題に対して、担任や学校としても、どういう対応をしているかが、判断の手がかりになるでしょう。

 理想は、校長先生を含めて、どうやったら、娘さんへの差別がなくなるか、学校全体で真剣に対応してくれるということですが、担任も校長も乗り気ではない、という場合は、教育委員会まで相談に行く必要もあるでしょう。

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