でもね、さおりさん。本当に大切なことは、こっちが感情に任せて怒ったら伝わらない場合が多いと考えた方がいいと思います。
娘さんが「怖がって、それがトラウマ」ということは、かなり激しく追いかけたり、怒ったりしたんじゃないでしょうか。
娘さんは、単純に、その怒りに恐怖を覚えたか、「ここまで怒らないと伝わらないんだ」と感じたのではないかと思います。
差別に対して、冷静に毅然とした態度で、論理的に間違いを指摘するというのは、かなりレベルの高い態度です。
僕自身も、海外で日本人であるということで差別を受けた時に(あきらかに空いているレストランで、窓側を希望したのに、トイレ横の席に案内された時など)、冷静に毅然として文句が言えるかというのは、じつは自信がありません。
先に脳がショートして、感情が沸点を迎える可能性があります。
二度とこんなレストランなんかに来るもんか、という場合はそれでもいいと思います。
大声でちゃんと怒るということは、時には絶対に必要ですからね。
でも、こっちがいくら怒っても、相手がニヤニヤしているだけの場合は、「やっぱり、イエローモンキーはめんどくさいよ。下等な生物だね」と相手は思っているわけですから、なんとかやりこめたくなります。
そういう時は、あなたのしていることは、差別であり、人間として許されないことだ、恥ずかしくないのかと、怒鳴りまくるのではなく、じゅんじゅんと、(または淡々と、または冷静に)毅然とした態度で伝える必要があると思っています。
さおりさん。差別を受けて苦しんでいる側が、なんで、そんな難しいことをしなければいけないと思うでしょう。僕も思います。でも、それが効果的に差別と戦う方法だとしたら、そうするしかないと思います。