寄付採納の文書に“記載なし”も
文科省の担当者は記者の取材に対して「学校関係団体の『真の自発的』な寄付であれば、それを妨げるものではない、と解釈されます」と説明する。
学校はPTAから寄付を受け取った際、教育委員会への報告が各自治体の「学校物品寄付受入手続」などで定められている。ヨウコさんは市に寄付採納の文書の情報開示を求め、全市立学校の寄付の実態を調査してきた。
「グランドピアノや液晶テレビ、放送機器、プロジェクタ―など、金額の張るものもあれば、給食用の台拭き、ストロー入れなど、細々としたものもあります」(同)
寄付採納の件数は、17年は小学校が152件、中学校が54件。23年は小学校が102件、中学校が60件だった。
「ところが、PTA新聞に学校への寄付が書かれているのに、寄付採納の文書に記載されていない物品がありました。市教委に問い合わせると『手続き漏れでした』という。もらっておきながら手続きしないのは、校長の認識が甘いと言わざるを得ません」(同)
「逃げ道が基本」が問題
千葉工業大学工学部教育センターの福嶋尚子准教授はこう指摘する。
「文科省や教委が『自発的な寄付であれば、受け取るのはOK』という地方財政法の例外規定、いわば逃げ道のほうを基本にしている。それが大きな問題です」
本来、寄付なしに学校運営を成立させることが設置者の義務だ。しかし、現状は各地方自治体の定めた手続きに沿って、学校が「自発的な寄付です」と申請すれば、寄付を受け取ることができる状態になっている。
「PTAからの寄付であれば、組織運営まで精査して本当に『自発的な寄付なのか』見極めなければならないはずですが、精査なしに『自発的な寄付』で片づけられている」(福嶋准教授)
PTA予算での学校の備品購入が常態化している場合、それが「真の自発的な寄付」になっているのか、精査する必要性があるだろう。
(AERA dot.編集部・米倉昭仁)