職場では、イクメン上司に頭を抱えたこともある。
「『子どもが生まれたから、明日から1カ月いないよ』って突然言われたんです。引き継ぎは何もナシ。生まれるの、前からわかってたでしょ?と思うんですけど……。こっちはもう、てんやわんやでしたよ」
しかもこの上司、復帰後のイクメンアピールが甚だしかった。
「『妻にはずっと寝ていてもらった』だの『夜中のミルクも俺がやっていて大変だった』だのずっと言っていた。こっちもその間、大変だったんだよ!と言いたかったですね」
家事育児=女性の呪縛
幸いなことに、この女性の夫は周囲の男性たちと比べると育児をやるほうだという。だが以前は「仕事に関してだけは折れてくれない」のが悩みだった。
「子どもが急に熱を出して保育園から呼び出しがあっても、『いや、俺は会議あるし』などと言って動いてくれない。だから結局いつも私が迎えに行くことになる。こっちは毎日お迎えの時間に間に合うように頑張ってなんとか仕事を終わらせているのに、向こうはハナからそういう調整をする気がなかったんです」
腹は立ったが、夫はSNSでイクメンアピールをしないのがせめてもの救いだった。女性は「末子が生まれてからは夫も譲歩するようになった」と話す。
(ライター・大塚玲子)
※AERA 2024年9月16日号より抜粋