時代を変えるための新しい代表選び

 その結果、国民がそうした能力のある若手の意見を聞く機会がないまま、民主党が2012年に政権を去った時以降、党勢拡大に失敗し続けてきた、政治的に「無能な」「元首相」とか「元幹事長」などという肩書の議員たちがいまだに偉そうに立憲の未来を語り、代表選に立候補しようとしている。立憲支持者から見ると絶望的な状況だ。

 自民党と立憲民主党は、ともに、政権を担うべき政党だ。それを前提とすれば、各党の国会議員の声を重視する選び方よりも党員の声で決める方法に変更すべきことは明らかだろう。

 さらに、政権を担当するのだから、党員の声を聞くだけでは足りない。より広く国民の声をすくい上げるために、一般国民を対象にした世論調査を選挙の仕組みの中に導入するなどの工夫が必要だ。台湾では、最近の民進党や国民党の総統選の候補者選びで、世論調査を用いる方法が採られている。

 以上のようなことを考慮して、新しい総裁・代表選びの一つの例を考えてみた。

1.立候補に必要な推薦人の数を5人程度まで引き下げる。
2.立候補者が5人以上となったら、世論調査で候補を4人以内に絞って1回目の選挙を行う。
3.第1回投票では、票数の配分を、党員票4:国会議員票1とする。
4.決選投票は、上位2人に絞った上で、党員票のみで行う。

 冒頭の話題に戻れば、もしこのような仕組みになっていたら、河野太郎氏は「変節」しただろうか?というのが私の問題意識だ。

 その点について、私には一つの確信がある。

 もし総裁選の仕組みが、前述した案のように、国民の声を確実に反映するものになっているとしたら、河野氏が変節することは絶対になかったということだ。

 彼は、堂々と脱原発を掲げて、原発推進派の人々にも積極的に問いかけ、説得を試みていただろう。

 それができない今の仕組み。

 今回の総裁・代表選挙からルールを抜本的に改めてもらいたい。

 「火の玉になって」「命懸けで」やればできるはずだ。

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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