総裁選には国民の声が届かない仕組み

 裏金問題で「結党以来の危機」に直面して支持率が最低水準に落ち込み、次の総選挙で政権交代の可能性も出てきたのに、旧態依然のまま。派閥を解消すると言いながら、実際には、総裁選の推薦人集めなどをめぐって、今も旧派閥の仲間が集まる会合が頻繁に行われていることは周知の事実だ。

 岸田首相は、裏金問題への批判を受けて、「火の玉になって」あるいは「命懸けで」改革に取り組む姿勢を示したが、国民の声によって総裁を選ぶという最も基本的なことに後ろ向きのままというのはどういうことなのか。

 どう考えても納得できる理由は見つからない。

 ここまでは、自民党総裁選びについて述べたが、政権交代を目指す野党の筆頭である立憲民主党もまたこの9月に代表選を迎える。立憲の代表選びは、自民党とは違い、党員の声を反映したものになっていると思う人が多いかもしれない。

 しかし実は、それは全くの間違いだ。

 立憲の代表選では、自民党同様20人の推薦人が必要だ。国会議員の数では136人で自民党の約半分だから、推薦人集めのハードルは2倍高いと言っても良い。若手議員が立候補するのは極めて難しいという状況になっている。地方議員のウェイトが高い分だけ地方の声が反映されると言えるが、一般の党員票が全体の4分の1にしかカウントされないという点では、自民党より悪いと言っても良い。

 さらに1回目の投票で過半数を取る候補者がなかった場合には、上位二人による決選投票になるが、票数の配分では、国会議員(一人2票)・公認予定者(一人1票)と都道府県連が各1票となるので、一般党員の声は自民党よりも小さい割合に縮小されてしまう。

 つまり、国会議員の数がかなり違うという点を除けば、構造的に一般党員の声に反する代表選びが行われる可能性の高い仕組みになっているという意味では自民党より悪いと言われても仕方のない仕組みになっているのだ。

 私は、かねて、立憲の若手議員の中に、潜在的能力で党の幹部を凌ぐ議員がいると主張している。しかし、このような代表選の仕組みでは、国民の前で堂々と幹部議員と議論を戦わせる場が与えられない。

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