2018年10月から活動を休止していたロックバンド・黒猫チェルシーが、渡辺大知(ボーカル)、澤竜次(ギター)の2名体制で再始動。バンド名を「黒猫CHELSEA」に改め、2曲入りシングル「きらーず」を配信リリースした。渡辺大知は役者としても活躍。今年もNHK大河ドラマ「光る君へ」、ドラマ「イップス」、ドラマ「季節のない街」などの話題作に次々と出演している。「自分の活動はすべて、バンドをやってきたことが基盤になっている」という渡辺に黒猫CHELSEA活動再開の経緯、音楽と俳優のバランスの取り方などについて聞いた。
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――ロックバンド・黒猫チェルシー(現/黒猫CHELSEA)は、2007年に神戸で結成され、2010年にメジャーデビュー。音源リリースやライブ活動を精力的に行ってきましたが、2018年に活動を休止しました。その後、渡辺さんは俳優業に専念していましたが、「いつかはバンド活動を再開させたい」と思っていたのでしょうか?
まず、今の自分の活動はすべて、バンドをやっていたことが基盤になっているんです。役者として最初に出演した映画(『色即ぜねれいしょん』/2009年)も、音楽をやっていたから選んでもらえた。(2018年以降は)役者をメインにしていますけど、活動の芯の部分はバンドだし、もしまたバンドをやるなら黒猫チェルシーしかありえないと思っていました。活動を休止した後も1人で曲は作っていたんですよ、誰に聴かせるわけでもなく。そのなかで気づいたのは、「商品にするために音楽を作るのではなくて、作りたい気持ちが音楽になるべき」ということ。商品として出すことが目的になると面白くないし、それが公になろうがなるまいが、作りたいと思えば作る。それが本来の音楽だよなと。
――音楽制作の根源に戻った?
そうですね。ただ、1人で曲を作っていると「身近な人に聴いてもらいたい」「人と音楽を鳴らすことのワクワクを共有したい」という気持ちになってきて。そのタイミングでバンドのリーダーでもあるギターの澤竜次から「もう1回バンドやんないか?」と打診があったんです。